西本願寺の経蔵の陶板を再現した作品を手にする樋口憲人さん。手前中央も今回の再現品で、左右は以前の挑戦作品=有田町の乃利陶窯

 西本願寺(京都市)の経蔵(きょうぞう)を装飾する約340年前の有田焼の陶板再現に、有田町の樋口憲人さん(72)=乃利陶(のりとう)窯=が挑戦した。古陶磁研究で培った知識を駆使、当時用いたと思われる技術や焼成方法を試行錯誤して制作した。「地元の先人陶工たちの供養になれば」と作品に込めた思いを話している。

 陶板は、1678年に完成した西本願寺の経蔵の内壁の装飾として約300枚納められた。実際には立体的な脚付きの陶箱の形で、裏に割れを防ぐ穴や長方形の窓が施され、絵柄は図案の異なる龍が2種類ある。一つが約25センチ四方で、厚みが最大約5センチ。裏面には「有田皿山土肥源左衛門」の作と記されている。

 初期の有田焼の造形を研究している樋口さんは、この陶板に興味を持ち、2000年ごろから当時の技法での再現に取り組んだ。「糸切りによる成型と思われがちだが、強度や割れの歩留まりを考えると違うのでは」と考え、ろくろで筒状にした後に一辺を切り開いて平らにする手法を取った。

 「当時の技術では割れる確率が高くなる」と素焼きはせず、よく乾燥させ、釉薬(ゆうやく)を生掛けして焼成。棚板のなかった昔の登り窯と同じ条件にするため、陶板同士を合掌するように立てて焼き、表面のへこみも回避した。7、8年前に色絵も施して一度作っていたが、今回はゆがみを解消し、脚部分も付けて再現の精度を上げた。

 「納得のいく形ができた。地元には面白い構造の古陶磁がまだあるので、研究と再現を続けたい」と意欲を見せる。

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