天気予報を最初に始めたのは、英国の農業週刊誌だった。大学から借りた前年の天候の記録を載せただけというから、「予報」としては何とも頼りない。それが1692年、327年前のきょうのこと◆日本では晩春から初夏にかけての今頃、旧暦の4月は「鳥待月(とりまちづき)」とも呼ばれる。気象エッセイスト倉嶋厚さんの著書によると、「人が鳥を待つ月」と解釈すれば、カッコウやホトトギスを待つ季節。田植え準備が始まる時期に渡ってくるため、鳴き声は農業季節の指標として、天気予報の役割を果たした◆もう一つ「鳥が待っていた月」とも読める。産卵やひなを育てるのに都合のいい若葉が茂る季節。やがて大きな翼を広げて羽ばたく日を待つ、という含意もあるかもしれない◆そんな日を待ち続ける人たちには久しぶりの朗報だろう。唐津市出身の北方悠誠(ゆうじょう)投手(25)が米大リーグ、ドジャースとマイナー契約で合意した。150キロ超の速球で甲子園を沸かせた夏の、地元湊地区の熱狂ぶりを思い出す。ご家族の情熱もさることながら、「地域が育てたエース」でもあった◆ドラフト1位の栄光は、人生では一瞬にすぎない。スポットライトが消えた後、どう道を切り開くか。「天才とは際限なく苦痛に耐えうる能力」だという。辛酸をなめ、成長した雄姿が表舞台のマウンドに立つ日を待つ。(桑)

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