滝純一「J像2018」(F200号)

 赤いガウンと緑色の帽子を身に着けた男性は、作家自身の姿。後方の建物はポーランド留学時代に見たアウシュビッツの収容所、手前に並ぶ三つの換気扇は軍艦島(長崎)の炭鉱をイメージしたという。バックは雪が残る秋田・男鹿半島の寒風山。忘れ得ぬ旅の記憶や、印象深い人や動物との思い出を心象風景として描いた。

 戦争の不条理を表現した作品で知られ、昨年100歳で亡くなった版画・彫刻家の浜田知明さんへのオマージュも込める。福岡教育大の助手をしていた20代のころに出会い、多大な影響を受けた。

 自画像近くの球体にはアトリエに立つ浜田さんをしのばせ、“守護鳥”と呼ぶニワトリは「厳しく私を見つめる浜田先生」。作家としての飽くなき探究心を、恩師もきっと応援している。

 滝純一さんは1944年生まれ。2016年、二紀展で内閣総理大臣賞を受賞した。二紀会理事。福岡県。

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