東京五輪の競技日程が発表になり、チケット購入の申し込み受け付けが9日から始まる。

 比較的手頃な価格のものも数多く用意された。五輪への関心は高い。海外の多くの旅行者は日本を安全で安心と受け止めているようだし、チケットはほぼ完売するのではないか。

 競技日程は国際オリンピック委員会(IOC)と巨額の放送権契約を結ぶ米国の放送権者の意向が今回も尊重された。米国勢のメダル量産が見込まれる競泳は全ての決勝が日本の午前中、米国のゴールデンタイムに組まれた。

 2008年北京五輪でもそうだったし、日本をはじめ米国以外の選手もこれは予想していたはずだ。競技に大きな影響は出ないだろう。

 北島康介が北京で2大会連続の2冠を、フィギュアスケートの羽生結弦が平昌で2連覇を果たしたように実力者は午前中の試合でも本来の力を発揮する。

 五輪はまさに地球規模のイベントになった。IOCは欧州の放送権者の要望にも耳を傾ける。競技時刻が開催国の意向だけで決まることはもうあり得ない。

 スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、バスケットボール3人制など「都市型」「若者に人気」の競技が入ってくる。日本が要望した空手、野球・ソフトボールも実施される。

 五輪の巨大化を防ぐ観点から、五輪憲章は310の種目数を目安とすると定めているのに、今回は339種目にも膨らんだ。史上最多だ。

 連日ほぼ20種目の決勝があり、大会の盛り上がりが閉会式まで途切れることがないよう、工夫されている。これは同時に、大会運営で最大の課題とされるスムーズな交通・輸送の面で、大会組織委員会に大きな負荷が掛かることを意味する。

 IOCと組織委はより運営しやすい規模の小さな大会ではなく、あえて複雑で難しい、大きな規模とすることを選んだ。組織委には記録的な入場料収入を確保できる好機と映ったのだろうか。

 開幕まで残り1年余りとなり、ここからは何より柔軟な対応が望まれる。その点、JR山手線や東京都心部の地下鉄が、競技終了が夜遅くになることを見越して、終電の運転を午前2時すぎまで繰り下げると決めたのは良かった。安心を一つ先取りできた。

 心配なのは、組織委が運営するボランティアの人員の多さだ。選手総数の約8倍、8万人がさまざまな会場で活動する計画となっている。ここまで規模が大きくなると、その輸送自体が組織委にとって大きな負担となるはずだ。

 ボランティア用のバスを多く運行すれば渋滞を招く恐れがある。組織委はできるだけ公共交通機関を利用してもらうと説明するが、駅から遠く離れた会場もある。

 また、ボランティアが公共交通機関を利用するとなると、通勤で混み合う都心部の電車がさらなる混雑に陥るのではないか。それが電車の遅延につながれば、それこそ大きな問題となりかねない。

 スマートフォンでデジタル地図の指示に従えば、どこにでもたどり着ける時代だ。案内役のボランティアはそれほど必要ない。8万人は「相場観」で決まった数字だという。組織委は柔軟な対応の一環として規模の縮小を検討してはどうだろう。(共同通信・竹内浩)

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