漫画「賀島兵介」を刊行した松原一征さん

田代領の災害復興の先頭に立つ賀島を描いている漫画「賀島兵介」のページ

 江戸時代初期、対馬藩の飛び地だった田代領(現在の佐賀県鳥栖市東部と基山町)で副代官を務め、貧困に苦しむ領民を救った賀島兵介(かしまひょうすけ)(1645~97年)の生涯を描いた漫画「賀島兵介―領民に愛された稀代の副代官」が刊行された。地元の長崎県対馬市で賀島の顕彰に取り組む賀島恕軒(じょけん)(兵介)顕彰会代表の松原一征(かずゆき)さん(74)が「賀島のことをもっと多くの人に知ってほしい」と自費出版した。

 賀島は田代での約10年間の任期中、水害などで苦しんでいた領民に食料や薬を与える一方、かんがいと治水事業を行い、養蚕を持ち込むなど産業振興にも努めた。その遺徳をしのび、没後320年を過ぎた今も命日の4月9日には鳥栖市の太田山安生(あんしょう)寺で、鳥栖市長や基山町長らが出席して「賀島祭」が催されている。

 一方、対馬では、田代から戻った賀島が藩政改革に取り組むが、その清廉さゆえに失脚して流罪の憂き目に遭った。こうしたことから、20年ほど前までその功績を知る市民はほとんどいなかったといわれる。

 父が、13代賀島家当主のいとこに当たる松原さんは1997年、対馬にある菩提(ぼだい)寺の海岸寺であった没後300年祭に当主と一緒に列席し、「世に出してもっと知ってもらうべきだ」と思い立つ。

 朝鮮通信使に光を当てるなど、対馬の歴史・文化の顕彰活動に半生を捧げてきた松原さんは、賀島の功績をロータリークラブや市民講座で紹介、理解が広まるにつれて「対馬三聖人」の一人に加えられるようになった。3年前から毎年、供養祭も開いている。

 漫画は自ら企画、監修した。賀島の改革や人柄が描かれている。1000部作り、対馬の小中学校をはじめ、鳥栖市や基山町にも贈った。一冊500円(税別)。希望者は福岡市の梓書院、電話092(643)7075へ。

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