佐賀県の東の玄関口として、けん引役が期待される鳥栖市で4年に1度の市長選、県議選がこのほど終わった。市民の判断が示され、10連休も終わる明日7日からは新元号「令和」の時代がいよいよ本格化する。心新たに力を結集し、その地理的なポテンシャルを最大限に生かせるようにしたい。

 選挙戦を振り返ってみたい。2月17日に投開票された市長選は4選を目指す現職の橋本康志氏と、11月まで市市民環境部次長だった槙原聖二氏の一騎打ちだった。槙原氏は「市政が停滞している」と訴えたが、結果は10票差で橋本氏が辛うじて勝利した。

 選挙戦で、橋本氏は防災拠点としての新庁舎や新産業集積エリアの整備、白紙に戻した鳥栖駅周辺整備の見直しなど大型事業の推進、小中学校特別教室へのエアコン設置などを公約した。

 当面は新産業エリアの農地法違反状態の解消、駅周辺整備の新しい方向性を示すことが課題となる。庁舎建て替えと引き替えに先送りした温水プールを核とした健康スポーツセンター建設も選挙戦のリーフレットに記した。いかに進めるのか、注目したい。

 選挙戦の構図は、国民民主党(国民)や無所属の市議らが橋本氏を支援した。自民党鳥栖市支部は槙原氏を擁立し、自民が推薦した。公明党の市議は槙原氏支援に力を尽くした。橋本氏と自民の対決という構図は、橋本氏の初出馬以来、ずっと同じである。

 市議会では最大会派の自民が野党的立場にある。駅周辺整備や庁舎建設を巡っては基本的な考え方の違いなどから対立する場面があった。執行部の情報公開の遅れ、突然の方針転換が火種となるケースも見られた。執行部はより丁寧な説明が必要だ。執行部と議会に意見の違いはあって当然だが、行き過ぎれば停滞を招く。政策を擦り合わせて進める努力をしてほしい。

 次は4月の県議選である。自民現職2人、自民推薦新人、国民新人の4人で3議席を争う激戦となり、自民現職の副議長が落選した。トップ当選は唯一7千票を上回った自民新人。続いて2015年に当時の現職が急逝し議席確保が命題となっていた国民新人、そして4期目の自民現職。当落を分けたのは、わずか7票の差だった。市長選の10票差に続き、まれに見る激戦となった。いずれも現職の苦戦が特徴である。

 ベテラン県議を失ったことは自民や市政にとって大きな痛手となったに違いない。一方で、新しい力への期待も大きなものがあろう。膨張する福岡都市圏のエネルギーを取り込んで鳥栖市の成長につなげ、さらに県内に波及させる役割を果たしてほしいと願う。

 人口減少社会の日本で、地方都市としては珍しく今も人口が増え続けている。これからも発展のチャンスに恵まれている。新元号「令和」に込められた思いと同じように、市、市議会、県議、市民が心と力を寄せ合い、鳥栖市を育ててほしい。

 4年前の鳥栖市長選後の論説は、激戦のしこりを乗り越えて一体となって進んでほしいとの思いを込めて「ノーサイド」と書いた。この論説で、もう一度言おう。「ノーサイド」の精神で、連携して市政を前へ、と。それが今の鳥栖市に必要である。

(高井誠)

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