佐賀県内の小学6年生の将来の夢を紹介する企画「ボクの夢 私の夢」。2018年度は、これまで5年連続1位だったサッカー選手を僅差で押さえた野球選手がトップになった。上位の職業は例年とほとんど変わらなかったが、対戦型のオンラインゲーム、e(エレクトロニック)スポーツが県内各地でも盛り上がりを見せたことから、「ゲーマー」や「eスポーツ選手」が大幅に順位を上げた。5日の「こどもの日」に合わせ、7722人の「夢」のランキングを紹介する

 

■7722人の夢紹介!

 1位になった野球選手は、米メジャーリーグで新人王を獲得した大谷翔平選手のように「二刀流で活躍したい」や「メジャーで活躍したい」という夢が多くみられた。2位はわずか14人差でサッカー選手。根強い人気を見せた。

 上位の職業は前年度とほとんど変わらなかったものの、初登場や大幅にランクアップした職業が目立ったのが今回の特徴。「ゲーマー」は88位から42位に急上昇し、「eスポーツ選手」が133位で初登場。ゲームソフトの開発や制作に携わる仕事、「ゲームクリエイター」も15位から12位に順位を上げた。

 アパレルのオンラインショッピングサイトを運営するゾゾタウン社長が、民間人では世界初の月旅行計画を発表するなど、さまざまな分野で世間をにぎわせた影響からか「金持ち」が73位から42位へ。ほかにも「自動車整備士」「動物保護」「アナウンサー」「栄養士」「バドミントン選手」など前年度60位以降から、50位以内にランクアップした職業が目立った。

 3位~10位は、保育士や看護士、医師など国家資格を有する職業や「漁師」や「農家」など家業を継ぎたいという夢が例年と変わらず多かった。

 「100歳くらいまで若々しく生きる」「ガラパゴス諸島の動物に会いに行く」といった個性的な夢もあった。

 ※53位以下は5日付朝刊、または電子ビューアに掲載

【集計方法】 2018年度に佐賀新聞に掲載した「ボクの夢 私の夢」は、県内小学校163校の6年生276クラス・7722人分。1人で複数の夢を記述した分を含め、延べ7753件について職業別に男女の区別なく分類した。職業名は子どもの表現・表記を尊重し、スポーツ選手はプロ・アマ問わず競技別で集計した。例えば「公務員」は国や県、市町村の職員をまとめ、警察官や自衛官、消防士、レスキュー隊は区別した。

 

子どもの成長が幸せ

保育士・倉富麻衣さん(ひなた村自然塾)

 天気が悪い中でも、園内を元気に子どもたちが走り回る。その姿を笑顔で見守るのは、ひなた村自然塾の保育士、倉富麻衣さん(35)=佐賀市。

 保育士になろうと思ったのは、10歳離れた弟の世話や園への送りを通して。子どもと関わることが好きで保育士になることが憧れだった。佐賀短期大学卒業後、ひなた村自然塾で働き始め、クラス担任経験を積んだ現在、倉富さんは主任を務める。「密に関わるクラス担任を離れて寂しいけれど、離れることで全体を見渡し第三者の目線を持つことができた」という。ちょっとした表情の変化で、子どもたちの思いをくみ取り、子どもと先生が一つになる。「毎日子どもの成長を見ていく中で一生懸命に何かをしようとする姿や、子どもたちの笑い声を聞くのが、幸せ」と目を輝かせる。

 以前、ひなた村自然塾を退職した先生のことを4歳児と話していた時、「この前先生と夢の中であったよ」。笑顔で語る言葉に感動し、思わず涙が出た。「子どもたちの成長を間近に見られるので、こんなにいい仕事はない。大変なことが多い分、得るものも多く、やりがいがあって楽しい」。保育士を目指す若者に向けて、そう語った。

 

目標クリアし夢実現

サッカー選手・樋口雄太さん(サガン鳥栖)

 三養基郡上峰町出身で、今季サガン鳥栖に入団したMF樋口雄太選手(22)。リーグ戦第2節のヴィッセル神戸戦でJ1初出場を果たした。幼いころからの夢をかなえた樋口選手は「何をやるにしても目標を立て、一つずつクリアしていけばプロの道は近づいてくる」と話す。

 2002年の日韓ワールドカップ決勝戦・ブラジル対ドイツをテレビで見て、「いつか自分もこんな舞台で」と思い、競技を始めた。母親から「ずっとボールを蹴っていた」と言われるほど、サッカーが大好きだった。

 プロサッカー選手を目指す上で意識したことは、「両足とも精度高くボールを蹴れるようになること」。やればやるだけ伸びると考え、ひたすら練習した。

 J1でプレーする佐賀県出身選手は数少ない。ただ、「佐賀のデコボコのグラウンドでもたくさんプレーした。そこで正確にプレーできれば、都会の人にも負けない」と樋口選手。目標を達成していくことで、小さな町からでもプロになれることを証明した。

 

デスクノート 純粋な思いで果敢に挑戦を

 米・メジャーリーグで活躍してきたイチロー選手が3月、現役引退を発表した。心に残る言葉が散りばめられた引退会見だったが、特に印象に残ったのは「野球を愛したことを貫いた」という言葉。メジャーで18年頑張れた原動力は「野球が好き」という純粋な思いだったのではないか。

 夢は誰かの影響を受けて生まれることが多い。イチロー選手に憧れ、プロを目指した人も多いだろう。昨年は、二刀流でメジャーリーグに挑戦した大谷翔平選手(エンゼルス)が大きな影響を与えた。イチロー選手も認める天賦の才能だが、その大谷選手もきっと、「もっと上手になりたい」「試合に勝ちたい」という、子どもの頃の夢を夢中になって追いかけてきたのではないかと想像する。

 夢を実現するための道程は人それぞれ。ただ、挑戦して失敗した時の悔しさは次につながるが、失敗を恐れて挑戦しなければ、後悔を生む。イチロー選手も会見でそう語っていた。きょうは、元号が「令和」に代わって最初の「こどもの日」。今の純粋な思いを見つめ直し、やりたいことがあれば果敢に挑戦してほしい。(子ども佐賀新聞担当デスク・中島義彦)

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