「生まれてきて、ありがとうという気持ちでいっぱいになりました」―。皇后雅子さまが愛子さまの誕生について語られた当時の様子がテレビで放映されていた。言葉を詰まらせながらの会見に見ていて目頭が熱くなった◆「ありがとう」という言葉は仏教の「有り難い」が語源という。釈迦が弟子に語った「盲亀浮木(もうきふぼく)の例え」に100年に1度だけ海面に顔を出す盲目の亀とたまたま漂っていた浮木の遭遇がある。人が生まれることは、この例えよりも「有る」ことが「難しい」ほどまれで、それが「ありがとう」に転じた◆奇跡に導かれた命を授かった、こちらの両親の安堵(あんど)の表情も印象的だった。体重258グラムで生まれた男児が成長し、退院したというニュース。母親に抱かれた男児の瞳がしっかりと未来を見据えているように思えた◆一方で大切な命を実感できない子どもたちがいる。いじめられる自分、虐待を受ける自分。本当に世の中の人たちが言うように自分は大切にされているのだろうかと。「命を大切に」という言葉だけでは思い詰めた子どもを助けることは難しい◆雅子さまは「子どもというのは生きるために、そして親に愛されるべくして生まれてくると強く感じました」と語っていた。きょうは「こどもの日」。生きる尊さを感じられるよういっぱいの愛情を注ぎたい。(丸)

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