幕末の佐賀藩が貢献した明治維新も、民衆の間には冷ややかな見方があったようだ。明治改元(1868年)当時の狂歌が残っている。〈上からは明治だなどといふけれど治明(おさまるめい)と下からは読む〉◆「ゆく年くる年」ならぬ「ゆく時代くる時代」の番組を見ながら迎えた令和は、新年が訪れたような不思議な高揚感があった。浅い眠りから覚めて新聞の題字横に「令和元年」の文字を見つけて、新時代の元日を実感した。新天皇即位の儀式のテレビ中継に「歴史の瞬間に立ち会えた」と若者たちがはしゃいでいた◆日本の四季の万象を記した俳句歳時記には、春夏秋冬に加えて「新年」の部立がある。そこに並ぶ季語を眺めていると、「これからの一年をよいものにしたい」という古人の特別な願いが伝わってくる。改元の節目が「お正月」のように思えたのも、同じような願いが現代にも満ちているせいなのかもしれない◆「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり象徴としての責務を果たすことを誓う」。新陛下は即位後初の「お言葉」をこう述べられた。国民の幸せと国の発展、そして世界平和…こうした決意に耳を傾けながら、令和の時代をどう生きていくか、気持ちを新たにした方もおられるだろう◆その志、〈和令(わすれ)まい〉と下から読んでみる。(桑)

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