新天皇陛下は1日、代替わりに伴う重要な儀式で初めての国事行為となる「剣璽(けんじ)等承継の儀」に臨まれた。皇位のしるしといわれる剣や璽(じ)(勾玉(まがたま))などを受け継ぎ、続いて「即位後朝見(ちょうけん)の儀」で三権の長、都道府県知事や市町村長らを前に「憲法にのっとり、象徴としての責務を果たすことを誓う」と、天皇として最初のお言葉を述べた。

 今後は4日に皇居で一般参賀、25日から来日するトランプ米大統領との会見や宮中晩さん会などがあり、6月に即位後初の主要地方公務となる「全国植樹祭」で愛知県を訪れる。10月には「即位礼正殿の儀」や祝賀パレード、11月に新天皇が催す新嘗祭(にいなめさい)である「大嘗祭(だいじょうさい)」と、即位関連の儀式や行事は年末まで続く。

 そうした中、皇室は大きな節目に差し掛かっている。新陛下より若い皇位継承資格者は皇太子の役割を担う皇嗣(こうし)の秋篠宮さまと長男の悠仁さまの2人だけとなった。皇位の安定継承という課題はこれ以上先送りできない。さらに前陛下が退位に伴い全ての公務から退かれ、公務の担い手不足も深刻さを増している。

 女性・女系天皇や、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設が検討されたが、男系男子による皇位継承を重んじる保守派の反対で、いずれも日の目を見ていない。政府も国会も危機感を持って具体的な議論に取り組む必要がある。

 剣璽等承継の儀に参列した皇族は、秋篠宮さまと常陸宮さまだけだ。平成の代替わり儀式に関する「平成大礼記録」には、皇位とともに伝わるべき由緒ある物を継承する儀式で「皇位継承権を有する皇族男子」に限定したとあり、また未成年皇族は儀式全般に出席しないという慣例も踏まえ、成年男性に限られた。

 政府が承継の儀の内容を検討する段階で有識者からは、女性皇族の出席を認めるよう求める意見も出されたが、前例踏襲で押し切った。女性宮家などの議論が再燃するのを嫌ったとみられる。

 14年前、当時の小泉純一郎首相が設置した有識者会議は女性・女系天皇を容認する立場から、皇位継承資格を女性皇族に広げ、男女を問わず長子優先とする皇室典範改正が必要との報告書をまとめた。しかし秋篠宮家にその翌年、皇室で41年ぶりの男子となる悠仁さまが誕生。典範改正案の国会提出は見送られた。

 民主党政権下で皇族減少対策として女性宮家が議論されたが、政権交代で立ち消えに。安倍晋三首相は「皇位継承の伝統を根底から覆しかねない」と月刊誌に投稿するなど、もともと母方が天皇の血筋である女系天皇につながる可能性のある女性宮家には否定的だ。

 といって、それに代わる具体案を示してはいない。戦後に皇籍を離れた11宮家の子孫を再び皇室に迎え入れるのも選択肢としたことはあるが、民間人として長年生活してきた人の皇室復帰は困難と小泉政権の有識者会議が結論を出している。

 前陛下の退位を一代限りで可能にした退位特例法を巡り、政府は「将来の先例になりうる」としている。陛下が80代を迎えるころに、継承順位1位の秋篠宮さまは70代後半。仮に退位となったときは、悠仁さまによる皇位継承もありえよう。周到な準備が必要になる。政府は即位後速やかに検討を始めるとしているが、あまり間を置かず議論に入るべきだ。(共同通信・堤秀司)

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