1992(平成4)年5月の佐賀県内への行幸では、天皇、皇后両陛下の要望もあり、多久市多久町の多久聖廟への訪問もスケジュールに組み込まれた。

 聖廟近くの研修施設・東原庠舎の応接室で、休憩中の両陛下にお茶と菓子を差し出した元同施設職員の女性(53)は「陛下が、自然と皇后の美智子さまの手を取る場面があり、室内はフワーとした空間になった」と当時の様子を明かす。

 行幸は見学を終えた多久聖廟から、皇后さまの母方の祖父・副島綱雄氏が生まれ育った邸宅のある本多久地区の交差点へ向かった。副島家と縁戚関係にある女性(87)によると、親族約20人が交差点の一角に集まったという。両陛下を乗せた車は、現在も残る祖父の実家の前をかすめるように、ゆっくりと角を曲がった。

 女性は「皇后さまはほほ笑みながら手を振られた後、陛下と共に邸宅をじっとご覧になっていた。ご自身のルーツの一つとなる旧家を記憶に残したかったのでは」と推し量った。

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