学童保育の現状や課題について話す県放課後児童クラブ連絡会の石橋裕子理事長=三養基郡みやき町

 佐賀県内の学童保育の現状を見つめてきた連載「放課後の居場所は今」。締めくくりとして、NPO法人佐賀県放課後児童クラブ連絡会の石橋裕子理事長に、現場に横たわる課題や今後のあり方を聞いた。

 -県放課後児童クラブ連絡会を立ち上げ、約20年が経過した。学童保育支援センターの運営に関わるなど、学童保育の質向上に努めてきた。良くなったこと、課題として残っていることは。

 連絡会立ち上げのきっかけは、支援員(当時は指導員)は子どもの成長にかかわる責任が重い仕事なのに、学校の教員と異なり、子どもの遊びや生活に関する専門の研修を受ける態勢がなかったことだった。現在、自治体によって差は大きいが、それでも「研修が必要」との共通認識をもてるようになったことは評価できる点だと思う。一方で、受け入れ人数拡大や施設増設が急速に求められ、量も質も追いついていない。

 -学童保育の現場を見ていて、何を危惧するか。

 一番は子どもへの影響だ。低学年は学校よりも長く過ごす場所でありながら、遊びや生活を保障する施設や設備が整っておらず、子どもに与えるストレスは大きい。また、深刻な人手不足の波も及んでいる。配置人数の確保がぎりぎりだと、子ども一人一人への配慮が難しくなり、外遊びなどではけがをさせないことばかりに注意が向き、禁止事項が増える。そのため「学童が楽しくない」という子どもも出てくる。厚労省が定める運営指針にある学童保育の役割の一番初めにある「子ども自ら進んでいきたくなるクラブ」という文言を確認したい。その役割をどのように果たしていくのか、大人が問われている。

 -新1年生でも「待機」になるなど、現状は厳しい。国が示す運営指針について「あれは理想」と口にする関係者さえいる。

 理想ではない。国は運営指針を「全国的な標準仕様」としての性格と説明している。子どもの最善の利益を保障し、安心して過ごせる生活の場となることが重要だ。すべてのクラブを訪問したが、支援員の雇用も含めて継続的に安定しているとは言い難い。働く人の環境にきちんと目を向けなければ、子どもの生活の質は確保できない。

 -「安心できる学童」を実現するため、行政のほか、保護者や地域に求められるものとは。

 風通しの良いクラブ運営が必要だ。支援員は「働きながら子どもを育てる家族」のパートナーとして子どもの成長発達を支える。その支援員を支えるのが保護者の役割だ。子どもを理解し、家族を励ます支援員の労働環境にも目を向けてほしい。また、第三者評価の導入、クラブでの生活の中に地域の力を入れるなど、その地域でできることを考え、子どもたちの放課後を豊かなものにしていきたい。=おわり

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