新作落語を得意とした故春風亭柳昇さんは「新作格言」なるものも数多く手がけている。〈乾杯の音頭を頼まれたなら要注意〉もその一つ◆パーティーや宴会で年配の偉い方の役回りだが、「メインの祝辞を頼むと、長々とやられて厄介。でも、何か一言ぐらいしゃべらせないと機嫌が悪いし」。幹事にそんな忖(そん)度(たく)をさせるようでは…という戒め◆乾杯と並ぶ大役が「締め」である。14日の「ひろば」欄で有田町の辻和俊さんが手締めの種類を詳しく解説されていた。〈3掛け3で9(苦)になるので、最後に1拍子を加え、九が丸になるように打つ〉という「一本締め」の由来や、1回だけ打つ「一丁締め」との違いを教わり、万が一忖度される身の上になったら、得意げに長広舌を振るうネタにしようなどと、やくたいもないことを考える◆大相撲春場所の優勝インタビューで「三本締め」をした横綱白鵬が日本相撲協会からけん責処分を受けた。辻さんの投稿を引くと、手締めは〈催事などを取り仕切った人が協力してくれた方々に、無事終了したことを感謝する〉ものだが、外国人力士でなくとも、こうした礼節を正しく理解できているか心もとない◆まもなく平成も終わる。お祝いの「万歳」か、感謝の「手締め」か。それぞれの来し方にふさわしい、いい締めくくりにしたいものである。(桑)

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