昨年の「唐津やきもん祭り茶会」から。中央が山西昭義さん=唐津市南城内の旧大島邸

 「一楽、二萩、三唐津」。安土桃山の昔から令和へ…焼き物のまち、唐津には今も色濃く茶の文化が息づいている。

 玄界灘からの風が軽やかになるゴールデンウィークに「唐津やきもん祭り」が催されるようになって今年で8回を数える。まちのそこかしこでイベントが行われ、訪れる人々は作陶家とやきもん談議をしたり、唐津焼のぐいのみで昼酒を楽しんだり…。有田の陶器市とは趣を異にする、唐津らしいおもてなしがこの催しをさらに魅力的にしている。

 旧大島邸で催される「唐津やきもん祭り茶会」もその一つ。今年もあっという間に満席になったよう。そんな人気催事のご亭主は唐津焼を愛する神戸・光明寺の住職、山西昭義さん(53)が務めている。

 山西さんが唐津焼を好きになったきっかけは1995年のこと。阪神大震災に見舞われ、家屋の下敷きになり生死の境をさまよった。姉とめいは帰らぬ人となり、以来、がれきにまみれた際に嗅かいだ土のにおいがトラウマとなり、焼き物を見るだけで山西さんは苦しんだ。

 数年後、備前焼に触れる機会があり、それが縁で唐津焼に出合い、魅せられた。その後、やきもん祭りがきっかけとなり、作陶家や料理人とつながりが生まれ、熊本地震のチャリティー茶席が評判を呼んだ。そんな山西さんのアクションが垣根を超えて人々をひきつけ、今に至っている。

 改元の今年、茶会のテーマは「民藝から茶の湯へ」。先人たちがいかにして朝鮮半島の民芸から茶器を見立て、とり上げたかを感じてもらう企画になるらしい。氏所有の古唐津や現代陶唐津焼作家の茶道具がふんだんに用いられ、それらを手に取って唐津焼を体感できる、貴重な一席になりそうだ。

 持続可能なまちづくりに必須なこと、それは地域文化の磨き上げと発信にある。やきもん祭りをはじめ、このような良質な催事を丁寧に継続し、多くの人に知って、参加してもらうことが唐津のさらなる活性化の鍵になると思う。(村多正俊)

 

 むらた・まさとし 東京都在住、ポニーキャニオン勤務。唐津に魅せられ、メディアを通じその魅力を発信している。52歳。

このエントリーをはてなブックマークに追加