「自分の感覚を形にできるのが絵画の魅力」と話す横尾勇作さん=佐賀市の佐賀北高

 「自分が五感で感じたものを表現したい」―。県総文祭の絵画の部で1席に輝いた佐賀北高3年の横尾勇作さん(17)=佐賀市=は、作品「静かな朝」にそんな思いで向き合った。朝日が差し込む室内に穏やかにたたずむ妹を描き、時間が止まったような1枚に仕上げた。

 前回はデザイン画で準特選だったが、作品に納得がいかず、「次は1席を」と気持ちを入れた。光が当たる耳の血筋や顔の色味など、その場で見つめた細部を試行錯誤しながら表現した。「自分の感覚を形にできるのが絵画の魅力」と話す。

 幼少期は、父親が描いてくれた車の絵をまねし、落書きするように絵を描いた。小学5年から絵画教室に通い、中学は美術部に。当時はより実物に近づけて写実的に描き、「写真みたい」と褒められた。

 ただ、佐賀北高で美術を本格的に学ぶうちに、その言葉はいつしか違和感に変わった。「なんか違うと思った。薄っぺらい感じがして」。その場の湿度や空気感、光の柔らかさ。本物通りではなく、絵だからこそ出せる、自身の表現を追い求めている。

 次の美術展では、出勤前に身支度をしている父親を描いた作品を出品するつもりだ。「身近で当たり前の存在だからこそ、よく見ると発見がある」と家族を描く妙味を語る。

 小学生の頃から「画家になりたい」という目標を抱いてきた。制作するたびに毎回悩むが、「逃げずに描くこと」を続けてきた。春休みは画塾に通い、自らさまざまな場所に出向いて感性を磨いている。

 全国の高校生が手掛けた絵画などの秀作が一堂に集うさが総文。さらなる成長に向けて「自分にどう吸収できるか楽しみ」と心を躍らせる。

 

 メモ 7月27~31日、各都道府県から選ばれた作品約400点が佐賀市の県立博物館・美術館に展示される。平面と立体の部に分かれ、絵画、彫刻、デザイン、工芸、映像など多彩なジャンルの作品が楽しめる。交流会には全国で活躍するアーティストや大学教授らを招き、絵画や染め物などの分野で作品づくりの基本を学ぶ。

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