制度上4月から2年目に入ったTPPで、豚の生産者価格は下落している。写真は、県の畜産公社で飼われている豚

 環太平洋連携協定(TPP)と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)は制度上、4月から2年目に入り、牛肉や豚肉などの輸入関税がさらに引き下げられた。豚肉の生産者価格が下がるなど、県内の畜産にも少しずつ影響が出ている。関係者は今後、さらに価格競争が増すと予測。畜産農家には、さらなる規模拡大によるコスト削減や経営基盤の強化が求められそうだ。

 昨年12月にTPPが発効し、38・5%だった牛肉への関税は27・5%などと下がり、制度2年目となる4月からは26・6%になった。豚肉も発効前の4・3%(高級部位対象)が2・2%、さらに1・9%と下がった。2月に発効したEUとのEPAも、ほぼ同様の内容だ。

 財務省の貿易統計によると、TPP発効後の1月、協定国からの牛肉輸入量は前年同月の1・5倍に伸びた。2月はEPAでEUからの豚肉輸入が同様に54%増えるなど、輸入肉が国内に大量に流れ込んでいる。

 JAさがによると、県を代表する「佐賀牛」の販売平均価格は、昨年が118万6千円。これに対し、TPP発効後の今年2月は122万6千円となるなど、1、2月とも枝肉単価も含め、価格は横ばい。JAさが畜産部は「ブランドが確立し、安価な輸入牛とのすみ分けができているため、TPPによる影響を回避している」と分析する。

 一方、肉質などで差を付けにくい豚肉では「安い外国産の豚肉がスーパーなどに入っており、価格が全体的に安くなっている」という。昨年夏に約4万2千円だった豚1頭当たりの農家の平均販売価格は、昨年冬には約2万7千円に落ち込み、今春は3万2千円ほど。価格に季節変動はあるものの、JAでは「4万円台には戻らず、今後は3万円台で推移するのでは」とみている。

 唐津市でブランド豚を飼育し年間約2万頭出荷している会社経営者は「輸入肉が市場に入り価格が抑えられている。国産豚が驚くような安い値で売られ、競争が激化している」と影響を語る。その上で「長期的には畜産衰退に拍車がかかる可能性がある」と懸念する。

 TPP、EPAにより今後ずっと安価な海外産豚との“競合”を強いられることになるが、対策について、JAさがは「地元の安全・安心な食品だと地道にPRするしない」と強調し、独自ブランドの「肥前さくらポーク」を地域密着で売り込む戦略だ。長期的には「規模がないとコスト的に持たない」と分析。現在の平均100頭ほどを戸別に飼育する形から、数千頭単位で飼育する企業的な経営体系を模索する。

 唐津市の経営者も「徹底して効率的な経営をしないと生き残れない。働き方改革を工夫したい」と話す。

 加速する価格競争で、最も影響が懸念されるのは、県内の小規模の畜産農家。対策会議を設けている県も「生乳がだぶつくようなことがあれば、県内への影響が大きい」(畜産課)と、警戒している。

このエントリーをはてなブックマークに追加