夕食に刺し身を食べたいとスーパーへ。迷って買ったのが「近大ブリ」だ。近畿大はこうした魚の養殖研究など実学志向が評価され、本年度も入試の延べ志願者数が15万人を超えた◆OBで音楽プロデューサーのつんく♂さんもここ数年、入学式に登場し人気に一役買っている。つんく♂さんは「シャ乱Q」でデビュー後、「モーニング娘。」をプロデュースして話題に。だが、喉頭がんに襲われ、5年前に声帯の摘出手術を受けた◆「一番大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました」。著書『だから、生きる』(新潮社)に当時の心境をつづっている。ページをめくっていて胸を打たれたのは、手術前に自分の声帯で発した〈最後の言葉〉。それは妻の名前だった◆「いろんな口調で、妻の名前を何度も呼んだ。これからも、何万回となく呼べるものだと思っていた…。妻は泣きながら、僕の声を聞いていた」。声帯を失った後、いままで見えなかった世の中の景色が見え始め、作品づくりに反映できているという◆今年の入学式。スクリーンにメッセージを映し出した。「人を育ててくれるものの一つに悔しさがある。それを感じずに挫折感しか感じられない人は成長できない」。自分だからやれることを開拓したいと音楽に向き合うつんく♂さん。きっとその言葉は新入生に届いたはずだ。(丸)

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