(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会
 

 佐賀県基山町出身の漫画家・原泰久さんが描く漫画『キングダム』(集英社)を実写化した同名映画が19日、全国の劇場で公開される。集英社を通じて寄せられた原さんのコメントや、先日、佐賀新聞社などが佐賀市の109シネマズ佐賀で開いた試写会の模様を紹介する。

 エンターテインメント超大作として公開前から話題を集める映画『キングダム』。原作漫画は、中国春秋戦国時代を舞台に、大将軍になるという夢を抱く奴隷の少年・信と、中華統一を目指す若き王・瀛政(えいせい)=後の秦の始皇帝=を壮大なスケールで描いている。累計発行部数3800万部を超える大人気作品が遂に映画化された。
 脚本執筆には原作者の原さんも参加。映画オリジナルのセリフを加え、幾度もの書き直しを経て完成したという。

 撮影は2018年4月、中国でスタート。監督を務めた佐藤信介さんは、日本では実現しえない本物の画(え)を求め、浙江省・象山影視城を舞台に選んだ。広大なオープンセットや荒野の馬群など、スケールの大きな映像をカメラに収めた。クライマックスには、兵士役のエキストラを延べ1万人動員したといい、迫力ある戦闘シーンを演出している。
 主人公・信は、映画やドラマ、CMなどと話題作への出演が続く俳優の山崎賢人が務める。肉体改造や過酷なアクション練習を経て、熱き想いを抱く少年を全身全霊で演じ、躍動感ある“信”を作り上げた。漂と瀛政には、俳優の吉沢亮。気品や威厳、風格は、動乱の世の若き王そのもの。奴隷と王の二つの役を演じ分け、存在感を光らせる。そのほか、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、大沢たかおら、豪華キャストがそろい踏み。エンディングは世界を舞台に躍進するバンド「ONE OK ROCK」が彩る。
 東宝の映画担当者は「迫力の映像や登場人物の熱き心情、スピード感あふれる殺陣は、今までにない歴史エンターテインメント映画と言え、大きな手応えを感じている。スクリーンで楽しんでほしい」と来場を呼び掛けている。

【あらすじ】
 紀元前255年、春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。戦災孤児の少年の信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、天下の大将軍を夢見て日々剣術の鍛練を積んでいた。ある日、漂は王都の大臣である昌文君(高嶋政宏)に召し上げられ王宮へ。王宮では王の弟・成蟜(せいきょう)(本郷奏多)によるクーデターが勃発。漂は致命傷を負うが、何とか信のいる納屋にたどり着く。血まみれの手に握られていたのは、ある丘に建つ小屋を示す地図だった。力尽きる漂。泣き叫ぶ信。漂が手にしていた剣とその地図を握りしめ、信は走り出した。

 

原作者・原さん 「非の打ち所がないくらい完璧」

キングダムの原作者、原さんが寄せたコメント全文を紹介する。

◆映画を見た感想
 ずっと実写化不可能と言われてきた『キングダム』ですが、僕の目から見て本当に非の打ち所がないくらい完璧に映像化していただけました。メインキャラクターを演じてくれた俳優さん達はもちろん、大人数のエキストラさんを巻き込んだ迫力の戦闘シーンも、建物やセットといった美術面も、細部にいたるまで製作陣の情熱が注ぎ込まれています。既に各所でお伝えしている通り、仮編集の段階で5回も泣いてしまいました。

◆一番印象深いシーン
 原作でも特に大切にしていた漂が亡くなるシーンですね。実はこのシーンを撮影するまだだいぶ前に、信役の山崎賢人さん、漂役の吉沢亮さんとゆっくり話をする機会があったんです。そこで「漂が亡くなるシーンは、その後の『キングダム』という作品を形作る上でとても大事だったんだよね。だから、映画でもここでお客さんの心をつかめるように頑張ってほしい」と直接お伝えさせてもらいました。
 その後、仕上がりを見たときには、二人が僕の想像をはるかに超える良い演技をしてくれていて、本当に嬉しかったですし、ボロボロ泣けてしまいました。

◆一番引きつけられた役者と演技について
 やはり主人公・信役の山崎賢人さんですね。これまでは二枚目の俳優さんというイメージだったのですが、実際にお会いすると素直でまっすぐな青年で、主演にも関わらず周りの役者さんやスタッフさんから「賢人!賢人!」「信!信!」ととても愛されていて、本当にそこに信がいるような錯覚に陥りました。
 一つ一つの演技に関しても山崎さんの人間的な魅力が詰まっていて、彼が演じる信に本当に幸せになってほしいと映画を見ながら願ってしまうほどでした。

◆脚本に入って、どのような要望をしたか
 今回は原作の5巻までを描いているのですが、当然2時間もののパッケージとして描いているわけではないので、一本の映画として成立させるためには改編が必要です。その際に、原作者に対して気を遣ってしまうと物語の面白さが損なわれてしまう可能性があると考え、僕が先頭に立って原作を改編しようと脚本陣に入れていただきました。
 僕の方が2時間ものとしては不要なキャラクターやシーンのカットを申し出て、逆にその都度止められるといった有様でした。

◆原さんから見ての映画の見どころ
 漫画『キングダム』の世界がそのままの雰囲気、迫力で映像化されています。まずはシンプルにその臨場感を楽しんでもらえたら。
 また、今回は物語の盛り上がりどころで映画オリジナルのシーン、セリフを用意しています。『キングダム』のエッセンスを存分に込めた場面になっていますので、すでに原作を読まれている方にも楽しんでもらえるのではないかと思います。

◆佐賀県民を含む、全キングダムファンへメッセージ
 佐賀県の端・基山町で生まれ育った人間の描いた漫画が、こんなにも大きな規模で映画化してもらえることになりました。涙あり笑いありの壮大なエンターテインメント作品に仕上がっています。ぜひ地元の皆さんにご覧いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いします!

原泰久(はら・やすひさ)
 1975年、基山町生まれ。東明館高-九州芸術工科大(現・九州大学)卒。2003年にヤングジャンプ増刊・漫革Vol.36に掲載の「金剛」でデビュー。06年、週刊ヤングジャンプ9号から『キングダム』の連載開始。13年には手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞。

 
 

 

(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会

 

試写会で絶賛の声相次ぐ「キャラクターそのもの」

 佐賀市の109シネマズ佐賀で9日に開かれた招待試写会(佐賀新聞社、エフエム佐賀主催)では、約400人が圧倒的なスケールで描かれる歴史エンターテインメントを体感した。会場を後にする人々からは、原作のファンか否かに関わらず絶賛の声が相次いだ。

■原作ファンにも高評価

 原作は累計発行部数で3800万部を超える大ヒットコミックス。その人気が高ければ高いほど、実写映画化に対するファンの目は厳しくなるものだが、今作はそんな原作ファンからも高評価が聞かれた。
 特に称賛の声が目立ったのは、個性と迫力あふれる登場人物を演じ切った豪華キャストたち。原作もテレビアニメ版も見ているという佐賀市の自営業吉武和信さん(43)は「キャストが原作キャラクターそのもので親しみやすく、おかげで映画の世界観に入りやすかった」と満足。ストーリーを熟知するファンながら「漂が信に夢を託したシーンには感動した」と出来栄えにうなった。
 原作で人気の登場人物にも次々と「満足」の声が。佐賀市の大学生碇和晃さん(21)は王騎を演じた大沢たかおさんをポイントに挙げ「愛されるキャラクターだけに演技への目も厳しいと思うが、あれなら絶賛されるはず」と太鼓判。佐賀市の伊東花菜(16)さんと白石町の井上愛子さん(16)は瀛政と漂を一人二役で演じた吉沢亮さんについて「演技の切り替えに驚かされた」と語った。
 映画では原作を再現する一方、漫画とは変わった部分も。佐賀市の大学生溝上拓哉さん(20)は「大事な部分はちゃんと再現してくれていて、最後まで飽きることなく楽しめた」と納得の表情。同市の藤崎巧晟君(11)は「原作とは違った言葉やシーンも含めて大満足」と笑みをこぼした。

■「友を心に夢追う姿に感動」

 原作を未読の来場者は、主人公・信と親友・漂のあつい友情に胸打たれた様子。きょうだいで来場した佐賀市の田原陸さん(17)と聡汰さん(14)は「親友が死んでも心に留めて夢を追いかける姿に感動した」と声をそろえた。主題歌を歌うバンドONE OK ROCKが来場のきっかけだった佐賀市の介護職池田大州さん(34)も「小さい頃から描かれる少年2人の絆が印象的」としみじみ語った。
 映画から原作へという流れも生まれそうだ。佐賀市の会社員田中淳さん(32)は「見どころ満載。原作を知らなくても十分楽しめたが、原作への興味も湧いた」と作品の余韻に浸っていた。小城市の江口陽向さん(14)も「奴隷の身分でも努力して夢をかなえようとする信の心の強さに圧倒された。原作を図書館で調べて読んでみたい」と瞳を輝かせた。

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