平成時代は西暦で1989年1月から今年4月末まで30年余り。この間、国際社会はどう変化したのか。東西冷戦が終わり、雪解けに向かうかに見えたが、昨年来の米中貿易摩擦は「新冷戦」ともいわれ、ウクライナを巡ってロシアと米欧の確執も続く。

 2001年には米中枢同時テロが起き、イスラム過激派の欧米への激しい憎悪を見せつけ、その後もテロは相次ぐ。欧州統合は進んだが、英国は欧州連合(EU)離脱を決定。各国で格差社会が問題化し、欧州ではポピュリズムから移民・難民の排斥や反EUを唱える極右が勢力を強める。

 対立から協調へ、分断から統合・グローバル化へ、向かったはずが、いつのまにか迷路に入り、対立、分断へ戻ろうとしている。世界の人々が国籍や民族、宗教の違いを超え、平和の中で幸福に共生できる地球づくりへ、しっかりとかじを切り直すべきだ。

 89年、ドイツのベルリンの壁は崩壊し、東欧に民主化の波が広がった。米ソ首脳はマルタで会談し、いったんは冷戦時代に終止符を打った。共産党独裁を放棄したソ連は91年に解体した。

 しかし、ロシアではプーチン大統領が00年以来、強権体制を敷き、欧米に接近したウクライナのクリミアを自国に編入した。一方、17年に就任したトランプ米大統領は「米国第一主義」を先鋭化させた。米ロは80年代から核軍縮を進めてきたが、トランプ政権は今年2月、中距離核戦力(INF)廃棄条約破棄を発表。プーチン氏も条約の義務履行を停止すると表明し、時計は後戻りした。

 一方、中国は89年の天安門事件で民主化運動を武力弾圧。改革・開放政策の下、01年の世界貿易機関(WTO)加盟や08年の北京五輪で経済成長に弾みをつけ、10年には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。強権的で非民主的な中国の台頭は、米国の脅威だ。東西冷戦は終わったが、米ロ、米中はなお激しい覇権争いを続けている。3大国は国益だけを追求せず、世界の平和と安定のため貢献する義務がある。

 格差の中で、民族と宗教間の対立も深刻となった。米中枢同時テロの後、米欧はアフガニスタンのタリバン政権、イラクのフセイン政権を倒し、過激派組織「イスラム国」を攻撃したが、各国で過激派テロは続く。こうした憎悪と報復の連鎖を絶たなければならない。

 北朝鮮の核開発問題については、03年から同国と韓国、米中日ロの6カ国協議で解決を図ったが、進展がなく、北朝鮮は6回の核実験を実施。昨年は初の米朝首脳会談で、非核化と両国関係の改善に合意した。先行きは不透明だが、早期の非核化実現を期待したい。

 昨年12月、国連気候変動枠組み条約締約国は地球温暖化対策のためのパリ協定実施ルールを採択した。トランプ氏は条約離脱を表明済みだが、環境保護のためのグローバルな取り組みに背を向けてはならない。

 日本は米国と同盟関係を持つ。尖閣諸島の領有権争いで悪化した中国との関係も改善の軌道に乗った。安倍晋三首相はロシアとの平和条約締結を目指し、プーチン氏とも会談を重ねる。日本は世界の平和と共生に向けて、3大国やアジア太平洋、欧州などの各国と協調し、より積極的な役割を果たすべきだ。(共同通信・森保裕)

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