みやき町出身で1992年のバルセロナ五輪で金メダルに輝いた柔道家古賀稔彦さんは、大会直前のけがにその後も苦しめられた。2年後、世界の大舞台へ復活を期して臨んだ大会では準決勝敗退。マスコミも柔道関係者も「引退か」と騒ぎ立てた◆あまりのふがいなさに、古賀さんは実家に電話をいれた。「俺…引退するよ」。わが子の決意を感じ取っていたのか、母親は落ち着いた声でこう語ったという。「今まで本当にたくさん応援させてくれて、楽しませてくれて…ありがとうございました」◆自分は本当に、感謝されるほど努力したのか。〈母からの一言で、私は自分を恥じた。都合よく怪け我がやブランクや年齢に甘えていた自分が居いたことに気付かされた〉(『こころ揺さぶる、あのひと言』岩波書店)。「平成の三四郎」は見事、世界王者へ返り咲く◆ゴルフのマスターズ・トーナメントでタイガー・ウッズが逆転で11年ぶりのメジャー制覇を果たした。膝や腰の故障に加え、女性問題や薬物疑惑のスキャンダルで選手生命が危ぶまれたスーパースターの復活劇。歓喜するギャラリーに応えて帽子を取った頭髪の寂しさに苦難の歳月を思う◆「父親がメジャーで勝った姿が子どもたちの忘れられない思い出になればいい」。苦しみ抜いた43歳は家族に感謝をささげた。辛抱の上に花は咲く。(桑)

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