物語に引き込む柔らかな声で朗読をする佐賀清和高3年の才川陽妃さん=佐賀市の同校

 中学時代に合唱で培った音感を生かし、細かな音をつかむ表現力で物語の世界観に引き込む。佐賀清和高3年の才川陽妃さん(17)=佐賀市=は2年連続で全国の総文祭に出場する。

 小学生の頃はミュージカルに打ち込み、中学では合唱部として九州大会への出場経験もある。その音感と表現力を生かし、言葉のアクセントや微妙な音の違いを聞き分ける。顧問の田川孝二教諭(60)は「音の微妙な変化を聞き取れる。○番、と(エントリー)番号を読むだけで世界観をつくる、鍛え上げた声」を評価する。

 音読が好きで小学4年から毎年大会に出場してきた。強豪校である清和の放送部では、腹式呼吸や滑舌、アクセントなど初めて意識することばかり。家でも皿洗いをしながら自然と読み練習をしていて、妹が大会原稿を暗唱できるようになるほど朗読にのめり込んだ。

 昨年は放送の日本一を決めるNHK杯全国大会で躍進。10人のみが残る決勝戦では、小説ではなくエッセーに初挑戦した。著者・川上弘美さんが心底うらやましいと思ったことを語る場面。演劇の練習後に食べたカツサンドを描写した「ほの甘いソースたっぷりの…カツサンド」という一節がある。柔らかくも客席に響き渡る声で、思わずのどを鳴らしてしまいそうな音声表現を見せた。

 エッセーは作家自身の語りを表現する。才川さんは「作品だけじゃなく作者のことを理解する。その上で自分の固定概念を捨てることが大切だった」と振り返る。田川教諭と場面の設定を突き詰め、その調整が実を結んだ。「作家を知ることで読み方に広がりが出る。自分の読み方を疑って、どれが聞く人に伝わるかを考える」。人に伝わる楽しさを感じるからこそ、大切にしていることだ。

 昨年は全国の舞台に立ち、自信をつけた。集大成となる総文祭とNHK杯に向け、「全国大会での優勝は夢じゃないと感じた。最後までやり抜きたい」と夢のステージを見据える。

 

 ▽放送部門は7月31日~8月1日、基山町民会館で開かれる。地域の話題を伝えるアナウンス部門、小説やエッセーを読む朗読部門、気になる話題を取材してラジオドキュメント・ドラマに仕立てる「オーディオピクチャー部門」、取材内容を映像にまとめる「ビデオメッセージ部門」の4部門で、各都道府県の代表が集まる。

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