「令和」と書かれた額が神社に三つもあった。氏子さんが「これを手に写真をどうぞ。シャッター押しますよ」と声をかけてくれた。思わず記念にパチリ。新元号ゆかりの地、太宰府市の坂本八幡神社でのことだ◆神社を訪れる人は10人ほどだったそうだが、元号が発表されてからは休日で5千人に膨れあがった。「令和」の額は近所の奥さんたちが急きょ書いて用意したという。訪ねた時も地域のみなさんが案内したり、シャッターを押したりと忙しそうだった◆「降ってわいたような出来事で…。みんなで月2回の清掃をしてお宮を守ってきたことが報われました」。氏子会長の木原一臣(かずおみ)さん(79)は笑顔で話してくれた。氏子は73人。交代で対応しているという。木原さんも毎日ここに通っている◆元号が引用された万葉集の「梅花(ばいか)の宴」。宴が開かれた大伴旅人(おおとものたびと)邸がこの辺りにあったのではないかというのが突然の人気の理由だ。周辺には確かに梅がたくさんある。新元号となる5月に入ると参拝客がさらに増えて氏子さんは大変だろう◆旅人はこの地に赴任後間もなく、妻を亡くした。境内には、牡鹿(おじか)が牝鹿(めじか)を求めて鳴く声に妻を思う心を重ねた歌碑がある。宴から1300年。酒を愛し、寂しさに耐えた旅人。きっと今は、地域の人たちの懸命のおもてなしに心和ませているだろう。(丸)

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