新元号「令和」が決まり、5月1日の新天皇即位まで3週間となる中、紙面では「平成」を振り返る企画が続く。歴史を時間の連続性で考える時、「一世一元」の元号で区切ることへの異論もあろう。ただ、明治、大正、昭和、と改めて時代に思いをはせると、その時どきの国家、社会像が浮かんでくる。それは次代への教訓となり、指針となる。

 平成の31年間で強く印象に残る出来事を聞いた世論調査の結果(3月31日付)では「東日本大震災と福島第1原発事故」が70%(複数回答可)で最も多く、「オウム真理教事件」(50%)、「阪神大震災」(40%)と続いた。

 後年、回顧する時、震災と原発事故はどう教訓化されているのだろうか。原発立地県で暮らす私たちにとっても大きな命題だ。

 被爆国日本の原子力政策は戦後10年をおかず「核の平和利用」のかけ声で始まり、高度経済成長以降、需要予測をもとに各地に原発が建設された。その後、スリーマイル島原発事故などで世界は停滞期に入るが、日本は拡大路線を続けてきた。しかし8年前の2011年、福島第1原発事故が発生し「安全神話」は根底から崩れた。

 玄海原発3号機再稼働から1年の3月、県内の首長に聞いたアンケート調査では7割超が運転継続を是認しつつ、6割超が「将来的に廃止」と答えた。再稼働という現実を前にしてか、前回「即時に廃止」と答えた2人の首長はトーンダウンしたが、脱原発を志向する流れは変わらないと言えよう。

 そこで気になるのは国民を巻き込んだ幅広い議論がないことだ。政府はエネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、2030年度の電源構成における割合を20~22%とする。そのためには新増設が必要とされるが、具体的な言及はない。

 一方、経団連は原発の再稼働や新増設、リプレース(建て替え)を真剣に推進すべきとする政策提言を発表した。エネルギーは生活と経済の基盤であり、安定供給と経済性、そして温暖化など環境への対応が不可欠だ。提言は進展なき現状への危機感の現れだろう。

 ただ、どういうエネルギーを選ぶかは、私たちがどのような社会、どのような未来を選ぶかという、社会設計そのものである。だからこそ中長期的な視点が必要だ。

 平成は55年体制が終焉しゅうえんした時代でもある。戦後の保守と革新のイデオロギー対立の中で原発をめぐる議論は堂々巡りの「神学論争」とも言われたが、東日本大震災と福島第1原発事故を経験した今、諸課題を正面から見据えた国民的議論が必要だ。

 政府が具体的な政策を提示し、多面的な観点からエネルギー構成を考え、最大限の合意点を見いだしていく。平成から令和を生きる私たちの責務である。

このエントリーをはてなブックマークに追加