授乳クッションと肘の間にサポートクッションを挟むことで、肩を上げずに授乳することができる。「こういった工夫をすることが大切」と指導する佐藤教授(中央)=佐賀市鍋島の佐賀大学

 産後1カ月ごろの母親に急増する「産後腱鞘(けんしょう)炎」について研究を続けている佐賀大学医学部看護学科の佐藤珠美教授(59)が、ストレッチなど予防法の周知に力を入れている。放っておくと長引いたり、仕事に復帰した際に悪化したりするケースもあり「育児の負担軽減にもつながるので、多くの人に知ってほしい」と呼び掛ける。

 「自分の体を赤ちゃんに近づけて抱っこするのを意識して」。3月中旬、佐賀大で初めて開いた産後腱鞘炎予防のための講座。佐藤教授らは母親たちに働き掛けてもらおうと、助産師や保健師らを対象に育児法を指導した。

 講座の参加者からは「手首の痛みに困っている母親を目にしていたが、どう対処すればいいのか分からなかった」という声も多く、予防も兼ねた手首のストレッチを紹介した。授乳枕だけでなく、サポートクッションを利用することで手首や肩に負担をかけずに授乳できることなどを伝えた。

 親指や手首の使い過ぎが腱鞘炎に発展する。首が据わっていない子を抱く際に、手のひらをいっぱい広げて頭を支えたり、力が入り過ぎたりすることが原因とみられ、特に第1子を育てる母親に多いという。

 2015年から17年にかけて、佐賀県内の産後の母親を対象に行った調査では、「手や手首に痛みがある」としたのは、産後2カ月が最多の約5割だった。そのうち約6割が手首に痛みがあると回答した。

 予防法を広めようと、佐藤教授はストレッチなどを紹介する字幕入りの動画を作成している。「手首が痛くても産後、病院にまで行く人は少ない。運動力学に基づいた動きを知ってもらうことで快適な育児につなげてほしい」と話している。

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