元世界銀行副総裁の西水美恵子さんが佐賀市で講演したときのこと。経済学者から転身し、貧困の撲滅や組織の改革に取り組んできた彼女に、参加者の女性が質問した。「自分の本気を上司に理解してもらうには?」。西水さんの答えは「叫ばないこと」。「大きな声を出すと人は聞きたくなくなる。政治家の絶叫する演説が一番ダメ」◆おとといの県議選の投票率は過去最低の46・12%。初めて5割を割り込んだ。9日間の舌戦でお疲れの立候補者には気の毒だが、選挙カーからの「大きな声」がよほど逆効果だったのだろうか◆5年に1度行われる「日本人の国民性調査」というのがある。直近の2013年のデータでは「他人の役に立とうとしている」と感じる人が45%で過去最高。78年にこの設問ができて初めて、「自分のことだけに気を配っている」と感じる人(42%)の割合を上回った◆「地域社会のために」と立候補する人、1票を投じる人。選挙ほど「他人の役に立つ」ことはないと思うのだが、見渡せば、議員のなり手はなく、投票率下落に歯止めがかからない。こと政治に関する限り、国民意識はあてにならないようだ◆高揚感のないまま、統一地方選は後半戦を迎える。「これ以上、民主主義を劣化させるな」。いつもの嘆き節がつい、口に出る。今度は静かに、小さな声で。(桑)

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