ステレオ写真とステレオビュアー

 武雄鍋島家資料の中に、ステレオ写真と呼ばれるものが24枚残されています。

 ステレオ写真は両眼視差の原理を利用し、わずかにずれた角度で撮影された同一対象の写真2枚を並べ、左右の目で別々、同時に見ることで、立体的に浮き出して見える写真です。

 欧米では1850年代に普及しはじめ、1860年ごろには日本でも外国人写真家が撮影を行うようになりました。

 文久2(1862)年には長崎の写真家上野彦馬が、訳注した『舎密局必携』で紹介し、慶応2(1866)年に翻訳・出版された『生理発蒙』でも、視覚の作用の説明にステレオ写真を見る器具ステレオビュアーが登場します。武雄鍋島家資料の中にあるステレオビュアーは、この絵と形状が良く似ています。

 武雄に残るステレオ写真には、フランスのパリ高等法院・プロシアのフランクフルト図書館・イタリアのローマ市街地・スイスのチューリッヒ等のものがあります。写真が貼られた台紙さまざまであること、武雄出身の山口尚芳ますかが副使として参加した岩倉米欧使節団の経路と重なる場所が多いことから、山口が滞在先で少しずつ買い集め、土産にしたものではないかと推測されています。今でいえば、旅行先で観光絵葉書を購入するような感覚だったのかもしれません。(武雄市図書館・歴史資料館 一ノ瀬明子)

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