「籠太鼓」で牢番の役を演じる野村萬斎さん(左)=唐津市民会館

 佐賀県唐津市浜玉町であった出来事を題材に作られた能「籠太鼓(ろうだいこ)」の公演が3月30日、同市西城内の唐津市民会館であり、狂言師の野村萬斎さんが舞台に上がった。即興を交えた演技に観客1100人が沸いた。

 籠太鼓は狂女物と言われるジャンルの演目。物語は殺人を犯した夫の身代わりに捕らえられた妻が、夫を思って狂乱。その愛の深さから夫婦は罪を許される。

 野村さんは牢番の役で登場した。低く震えた声が場内に響くと、観客が見入った。時を知らせる太鼓を9回たたく場面では、わざと1回少なくたたき、「残りは明日にとっておこう」と即興を挟み、会場から笑いを誘っていた。

 最前列で鑑賞した伊万里市の古賀久美子さん(72)は「能を初めて見たが、立ち居振る舞いに迫力があった。来てよかったです」と話した。

 今回の公演は、唐津市内外で活動する能楽師多久島法子さんが、学生時代に野村さんから指導を受けた縁で実現した。主催した唐津・能の里づくり実行委員会の樋口宏会長(79)は「世界的な有名人が唐津に来てくれたのは望外の幸せ。これを機にいろんな人が古典芸能に興味を持ってくれれば」と語った。

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