ふるさと納税制度の規制強化などを盛り込んだ改正地方税法が成立した。寄付者に贈る返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」に限定し、問題化している過度な返礼品競争を防ぐことを目指す。制度を巡ってさまざまな混乱も続いてきた。これから地場産品の定義などが示されるが、これ以上の混乱を避けるためにも総務省はルールの詳細をきちんと示すべきだ。

 改正法は地場産品について「自治体の区域内で生産された物品やサービス」と「これらに類するもの」と規定した。寄付金募集については「適正な実施」として過大な経費をかけないことなどを求めている。こうしたルールを守れない自治体は制度の対象外とし、対象外の自治体への寄付は6月1日以降、制度に基づく税優遇が受けられなくなる。

 総務省は4月以降、地場産品のさらに詳しい定義や、経費を寄付額の5割以下に抑えることなどを示す方針だ。地場産品については、地域資源の乏しい自治体は同じ都道府県の特産品を返礼品とすることを条件付きで容認したり、災害で被災した自治体が近隣地域などの代替品を地場産品とすることを認める方向とみられている。

 佐賀新聞社が佐賀県と県内20市町に行ったふるさと納税に関するアンケート調査では、総務省に対して「地場産品の定義を詳しく」「どこまで経費といえるのか示してほしい」という声があった。「友好関係にある自治体の産品を扱えないか」「自治体内にある工場の生産品は」などの疑問もある。総務省はこうした疑問に答える基準を示すべきだろう。

 もうひとつ自治体が困惑していることがある。制度の対象にするかどうかの判断材料に、昨年11月以降の寄付金集めの状況も考慮する方針を示したことだ。

 総務省は昨年から「返礼品は寄付額の30%以下に」「商品券などではなく地場産品に」と通達を重ねた。同省の強い意向を感じて10月までに多くの自治体が通達を守り始めたが、中には12月まで応じなかったところもあった。お歳暮や正月用品などで需要が多かったことや、需要を見込んで仕入れを増やしていた返礼品業者に配慮したからだ。県内にもそうした自治体はある。制度の対象外になると寄付の大幅減額は避けられないだろう。反発してきた自治体は気が気でないはずだ。

 総務省は先月、ふるさと納税で多額の寄付を集めた大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など4自治体の特別交付税を減額した。この措置に「突然で懲罰的」などの批判も出た。対象から外すかどうかは、そうした“強行姿勢”ではなく、妥当性のある慎重な判断が求められる。

 法改正を機に、自治体も返礼品競争に偏向してしまった制度を再考したい。先日、佐賀県のふるさと納税を活用して、抗がん剤治療などを続けている患者に医療用かつらを提供する取り組みがニュースになった。ふるさと納税の趣旨に合う取り組みだと思う。制度を使った災害被災自治体への支援も好例だろう。

 納税者が自らの故郷や、共感する施策やアイデアを企図する自治体を選ぶ。自治体も応援してもらえるよう工夫を凝らす。地場産品のアピールと同時に、そういう動きにもつなげたい。(小野靖久)

このエントリーをはてなブックマークに追加