佐賀新聞は今年8月1日、創刊135年を迎える。「有明抄」が登場したのは1950年6月1日。終戦から5年後のこと◆「有明」とは有明海のそれではなく、月の明かりがまだある中で静かに夜が明けるころ。「有明抄」は新しい“明け有る”世の中を探す540文字のコラム。よくぞ、命名者の慧眼(けいがん)に脱帽だが、担当して通算10年を超えた◆朝起きたら「何を、どう書こうか」。もがきながらの毎日だった。読者に教えられて仕立てた原稿は数え切れない。行き詰まって、追い詰められるたびに救ってくれたのは読者からの1本の電話、1通の手紙、メール。そんなことが何度あったことか◆新聞の「論説」や「社説」は床の間を背に社会のあるべき姿をきりりと論じるもの。一方、コラムは茶の間でくつろぎながら“書き手(私)”の本音、喜怒哀楽を雑学でも交えながら“あなた(読者)”にささやくもの◆そう信じて、肩肘張らず1日1本。箴言(しんげん)のひとつぐらい潜り込ませようと念じながらパソコンに向かったが、会心のコラムなど1本もなかった。気負って駄作ばっかり、穴があったら…。でも、「有明抄」は読者と新聞を結ぶ双方向の交流回路だったことは間違いない。このことを誇りにきょうで筆を置く。ただただ読者に感謝しながら、あす公表される新元号を想像している。(賢)

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