色鮮やかな新しい絵馬を制作した佐賀大学美術・工芸課程4年の早瀬麻乃さん(左)と浄財を贈った青木二郎さん=江北町の天子社

明治22年の大日本帝国憲法制定を祝う行事を描いたとされる古い絵馬。図柄や色などがほとんど分からなくなっていた=江北町の天子社

 佐賀県江北町の天子社に伝わる明治期の絵馬を、佐賀大で美術を学ぶ学生が模写し、新しく作り直して奉納した。同大学美術・工芸課程4年の早瀬麻乃(まな)さん(22)が卒業制作で取り組み、地域の人々や神社にゆかりのある人の思いを絵筆に乗せた。

 絵馬は2点で、うち1点は明治20年代に描かれたとみられる絵馬の模写。モチーフは、1889(明治22)年に公布された大日本帝国憲法制定を祝う行事が天子社で開かれた様子とされる。境内で酒を飲んだり芝居を見たりして楽しむ人々や、神社への供え物を運ぶ行列などが描かれている。縦95・7センチ、横187・3センチ。

 原本の絵は色あせや表面のはく落などで見づらくなっていた。早瀬さんは古い絵馬や昔の写真、赤外線カメラや蛍光X線分析機での分析結果も参考にし「できるだけ元の状態に」と心掛けた。画材も原本に最も近い岩絵の具を選んだという。制作に約1年をかけた。

 きっかけは、戦時中の金属供出以来、無くなったままになっていた同神社の釣り鐘が、同町出身の青木二郎さん(74)=大阪府=の浄財で再び設置された約5年前。浄財が余り、絵馬の新調に回された。

 2014、15年にも佐賀大に依頼して学生が描いた絵馬の寄贈を受けており、今回で合計4枚となった。今回贈られた残る1点も早瀬さんが制作。かつて参道にあった桜並木の復活を望む青木さんの思いをくみ、満開の桜が覆う参道の鳥瞰(ちょうかん)図を描いた。

 幼い頃、同神社の境内でよく遊んだという青木さんは「立派な絵馬ができた」と満足げ。制作にあたって地域の歴史を調べ、何度も足を運んだという早瀬さんは「原本は明治時代の制作で、絵馬は100年も残るものだと意識して描いた。この地域がいつまでも自然豊かで、人々がこれからも暮らしていけるようにという思いも込めた」と話す。

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