寒暖を繰り返す春先の気候は、自律神経の乱れを招き、心身に影響を及ぼすことがあります。気分が落ち込んだり、イライラや不安感が募ったり、不眠やうつの症状が現れたり…。そんな不調を感じていたら、「漢方」ですっきり改善を図りませんか。西洋医学と漢方の両方の知識を生かして治療を行う「漢方の専門医」馬島英明氏にお話を聞きました。

心身に不調きたす「春の病」
漢方の力で改善しよう

不眠や不安感、イライラ感じたら

体調管理が難しい春こそ「漢方」を

 新学期や新年度が始まる春。心機一転、新たなスタートを切るシーズンですが、環境や人間関係の変化に戸惑う人も少なくありません。また、「三寒四温」と言われるように、短い周期で寒暖が繰り返され、体調管理も難しくなります。
 こうした春特有のストレスが自律神経の乱れを招き、心身に不調を来す人もいます。「気分の落ち込み」「イライラ」「不安」「不眠」「慢性頭痛」「のどの異常」などは、春によく見られる症状です。多くの場合、病院で検査しても原因が分からず、不調がだらだらと長引きます。
 病院や薬を変えても、なかなか改善が見られない…。そんな時こそ「漢方」の出番です。

見直される「漢方」のチカラ

 漢方は、江戸時代に発展した日本の伝統医学です。漢方医が一人一人の体質・症状をつぶさに観察し、環境や気候も考慮に入れて漢方薬を処方するため、「オーダーメード医療」とも言われます。
 体内の「気・血・水」を整えることで、臓腑(ぞうふ)・器官の本来の働きを取り戻し、健康に導くのが漢方の理論。病気になる前段階の「未病」のケアにも力を発揮します。
 現代医学の基本は西洋医学ですが、近年は漢方薬も広く活用されています。抗がん剤の副作用を軽減し、認知症や男女の更年期障害の症状も緩和するなど、西洋医学の治療を補完する役割を担っているのです。

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春に現れやすい病気

 それでは、春に出やすい症状と、それに対応する漢方の一例を見てみましょう。
【不眠】
 高齢になるほど、十分な睡眠の時間・質が得られず、不眠に悩む人が増えてきます。漢方では心身の不調を改善することで、不眠が起こらない状態に導きます。たとえば、イライラして眠れない場合は「抑肝散(よくかんさん)」。心身の疲労があれば「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。不安が強いなら「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」などを用います。時には効果を上げるために、気・血・水のバランスを取る目的で色々な方剤を合包します。
【のどの異常】
 のど周辺に違和感があれば、アレルギーや気管支炎などが疑われますが、ストレスが原因であることも。不安や不眠を伴う場合は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」。女性の更年期症状が関係する場合は「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などを用います。さらに「香蘇散(こうそさん)」や「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」、「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」などを中心として、合包した処方も用います。
【慢性の頭痛】
 片頭痛や緊張型頭痛だけでなく、春は「心因性頭痛」にも気を付けたいもの。ストレスが多い人の頭重感には「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」。不安や不眠から来る頭痛には「香蘇散(こうそさん)」などが有効でしょう。そのほかにも、頭痛に効果のある方剤は10種類以上あります。ただし、急性の異常な痛みがある場合は、くも膜下出血や脳腫瘍などの恐れもあるので、専門医にすぐ相談を。

「漢方専門医」に相談を

 漢方薬は天然由来の「生薬」を原料とするため、体にやさしいイメージがありますが、誤った服用をすれば副作用が出ることもあります。必ず豊富な知識と経験をもつ「漢方専門医」(東洋医学会認定)に相談しましょう。
 当院では、西洋医学と漢方のそれぞれの長所を生かした治療を行います。漢方が有利だと判断すれば、患者の体質と症状を見極めた上で処方。症状の改善具合を見ながら漢方薬の組み合わせを変え、一歩一歩改善を目指します。もちろん保険も適用されます。
 必ず患者さんとお会いして治療方針を決めるので、電話での相談は受け付けません。よりスムーズに診察するためにも、「おくすり手帳」など服薬歴や病歴、サプリメントの利用歴が分かるものをご持参ください。

馬島医院 院長

 

馬島 英明
(ましま ひであき)東京医科大学卒業。1982年、佐賀医科大学外科学、消化器一般外科入局。87年、佐賀医科大学外科学助手。91年、医学博士取得。同大学消化器一般外科医局長を経て、94年1月に馬島医院を開業。日本外科学会認定医。2006年12月、社団法人日本東洋医学会漢方専門医試験に合格。西洋医学と東洋医学を取り入れた医療を実施し、毎年学会で発表。平成30年度も4回の発表を行った。

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