春の摘み草「ハギナ(萩菜)」を、小中学校で一緒だった同級生からいただいた。子どもの頃、ご飯に混ぜて食べていた思い出話をしていたら、わざわざ奥さんが摘んできたそうだ。早速、ハギナご飯にして食べてみた。その香り、ちょっとした苦み。懐かしさがよみがえった◆ハギナはキク科の多年草。「ヨメナ(嫁菜)」の別称である。白く美しい花を咲かせることから嫁菜と書く。山野や田のあぜに生えるが、最近は休耕田が増えて田んぼに出ることもなくなり、見かけることがなかった◆いろいろ調べていたら、春の野草の中でも美味として昔から知られるそうだ。若芽を軽く塩ゆでして細かく刻み、ご飯に混ぜて食べる。ゆでた若芽の緑色が鮮やかである。自宅ではちょうどアサリご飯を用意してあったので、これに混ぜると春の味わいがした◆万葉集では「ウハギ」の名でうたわれ、当時から採られていた。〈春日野に煙立つ見ゆ娘子らし春野のうはぎ摘みて煮らしも〉。「春日野に煙が立っているのが見える 乙女たちでしょう 春の野のウハギを摘み取って煮ているようです」。春を楽しむ様子が伝わってくる◆素朴な旬の恵みと味わい。そして家族で食卓を囲む。なんとぜいたくな時間だろう。年のせいか、最近はこんなことが本当は大切なんだなと感じることが多くなった。(丸)

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