「メキシコ市」と書いたボードを持つ伊藤輝さん。中南米縦断の旅の経験を伝えたいという=佐賀新聞社

祭りの法被を着てメキシコの路上で演奏する伊藤輝さん。日本のアニメソングを歌うと大いに盛り上がった(伊藤輝さん提供)

 シンガーソングライターとして活動した経験を生かし、路上ライブをしながら、ヒッチハイクで中南米を縦断した佐賀市出身の伊藤輝(あきら)さん(27)が、約2年の旅を終え、帰郷した。米国を含め、計16カ国を訪れた伊藤さんは「言葉が通じなくても、音楽で現地の人とつながり合えた体験や好きなことに打ち込む喜びを多くの人に伝えていきたい」と話す。

 伊藤さんは佐賀商業高を卒業後、会社勤務を経て、音楽の道を志し上京。曲の作り方や音楽理論を専門学校で学び、路上やライブハウスでの演奏、CDの自主制作も行った。音楽修行として渡ったオーストラリアはバスキング(大道芸)が盛んで「路上ライブをしながら世界中を回ってみたい」と思い立った。

 帰国後の2016年秋、“練習”のつもりで、佐賀から北海道への日本縦断に挑戦。食費や宿泊費をバスキングで集めながら、ヒッチハイクの旅を続け、29日間で目標を達成。同年末、世界最南端の街とされるアルゼンチン・ウシュアイアから旅を始めた。

 スタート時の所持金はゼロ。旅に必要な資金はバスキングで集め、陸路移動はヒッチハイクという日本縦断と同じルールを課し、当初は橋の下で野宿をしたことも。ただ、言葉は通じなくてもビートルズやマルーン5、ボブ・マーリーの歌を披露すると、現地の人たちは興味を示してくれた。

 ボリビアやペルー、コロンビアなどを経てメキシコへ。ドラゴンボールやナルト、ワンピースなど日本のアニメが人気の国もあり、アニメソングを歌うと盛り上がり「治安の良くない国も多く不安もあったが、怖さより、先へ行きたい気持ちが強かった。言葉の壁を超える音楽の力を実感した」。米国にも渡ったが、所持金が底をついたため旅は終了。今年1月下旬に帰国した。

 今後は佐賀を拠点に学校や企業を回って音楽と、旅で撮りためた写真と組み合わせて、今回の経験を伝えたいという。伊藤さんは「やりたいことが見つからない人、新しいことに挑戦したいのに、一歩を踏み出せずにいる人の背中を押せれば」と話す。

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