10代のころから父親の影響で作句に精進したという佐賀市の童話作家権藤千秋さん(94)からの手紙がある。権藤さん79歳の時のものだ◆「やっと萬緑賞がいただけました。投句して47年、毎年希望を失わずチャレンジしてよかったと、これからも自らを励まして生きる喜びを詠(うた)いたいと思います」。ひたすら“17音”の魅力を追い求めてきた人の感動が伝わってくる◆「萬緑賞」は人間探究派の俳人中村草田男(1901~83年)が主宰した俳誌『萬緑』が1953年に設けた。同人としての実績はもちろん、創作活動において草田男文学の継承者に贈られるこの上ない栄誉。権藤さんは「とても届かないと思っていました」と謙虚だが、権藤さんの文学活動をたどれば、当然と思える賞である◆俳句にとどまらず、半世紀に及んで自宅を開放して読み語り、読書会を指導。また童話を書き続けてきた。先日、権藤さんが1981年から主宰する児童文学誌『ブランコ』14号が届いた。「こぎ出して14号のブランコですが、ふるさとの光と風の中で、励ましをききながら、少しずつ高くこいでいきたい…」◆何という、年齢を感じさせない前向きな姿勢。ドイツの詩人サミュエル・ウルマンの『青春』の中の「理想を失うとき人は老いる」というフレーズが好きだという権藤さんに脱帽である。(賢)

このエントリーをはてなブックマークに追加