関西電力は、具体的な事業計画がない使用済み核燃料の第2再処理工場の費用を、2017年と18年の家庭向け電気料金の値下げに併せて原価に織り込んだ。九州電力も4月に予定する値下げで料金に含める。電気料金の値下げは国への届け出のみで可能で、中身について有識者による審査は原則不要。実体のない事業の消費者負担が始まったが、その是非は公に議論されないままだ。 

 関電と九電は自社の原発が再稼働し、経営状況が改善したことで値下げに踏み切った。一見、消費者には恩恵となるが、東京電力福島第1原発事故後の原発の長期停止を受け大幅に値上げしており、その分が元に戻っただけとの見方もある。

 電力小売り事業は16年に自由化され、事業者が独自に料金を設定できるようになったが、大手電力会社は政府の規制を受ける従来の料金も残している。

 規制料金は使用済み燃料の再処理費用などさまざまな経費を料金に転嫁できるため、値上げには有識者による審査と経済産業相の認可が必要。値下げの場合はそれぞれの経費が妥当か細かく議論することはない。経産省や関電、九電は第2工場の総事業費や料金転嫁を積極的に公表しておらず、消費者は自らがどの程度を負担するのか知るすべがないのが実情だ。規制料金は20年に廃止する予定だが、延長論も浮上している。【共同】

費用の妥当性説明を

 新たに消費者負担が始まった使用済み核燃料の第2再処理工場を巡る総事業費は、過去の試算では12兆円近くに上る巨額なものだ。しかし構想は具体化せず白紙のまま。実体のない事業の費用を、なぜ消費者が支払うのか。電力会社は事業の実現可能性や費用の妥当性について積極的に説明を果たすべきだ。

 電力会社は共同出資する日本原燃を通じて青森県六ケ所村に再処理工場を建設中だ。使用済み燃料は全量を再処理する方針なので、建設中の工場では処理しきれない量が将来発生する。「原発の新増設が進み、高速炉も普及するだろう」。第2工場の構想は、こんな楽観的な予想に基づき浮上。2007年に試算を公表し、電力会社が費用を準備する形になった。

 しかし原発の再稼働は停滞し、新増設は困難な状況だ。日本原燃の再処理工場は完成延期を繰り返す上、稼働しても使い道のないプルトニウムが増える懸念が残る。第2工場が必要だとの主張は説得力を欠く。

 これまでも消費者はさまざまな「原発のコスト」を負担してきた。第2工場分の費用は巨額であるにもかかわらず、電気料金に含まれている事実は周知されていない。積極的な情報公開を避けるのであれば、消費者軽視との批判は免れない。

 

雑で乱暴な論理だ

 大島堅一・龍谷大教授(環境経済学)の話 使用済み核燃料の第2再処理工場の費用を電気料金原価に算入するのはおかしい。以前の制度では、日本原燃の再処理工場の費用が電気料金に含まれていたが、理由がはっきりしないまま対象が大きく拡大した。消費者はこの事実を知らない。必要かどうか分からず、具体的計画がないものの費用を電気料金から徴収されることになり、負担は増える。計画がないのに資金を最初から取るという論理で、あまりにも雑で乱暴だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加