佐賀新聞社が県内企業に実施した2017年度の年次有給休暇取得に関する調査によると、「従業員の平均取得率は50%未満にとどまる」と答えた企業が7割に上ることが分かった。人員不足で取得が困難だったことなどが背景にある。4月1日に施行される働き方改革関連法では、年5日の年次有給休暇(年休)の取得が義務づけられているため、早期の対策が求められる。

 調査は1月初旬から2月初旬にかけて県内企業200社に行い、93社(46・5%)が回答した。それによると、「取得率50%未満」は72・6%を占め、このうち最も多かったのが「30%台」の22・0%。「20%台」(15・4%)、「1~9%」(14・3%)、「10%台」(12・1%)、「40%台」(8・8%)と続いた。酒造や縫製、建設関連で取得率の低さが目立った。

 取得に向けた課題(複数回答)は、「業務量が多くて人員不足」が54・3%と最多だった。「取得に対する意識が低い」が35・9%、「休んだ人の業務をカバーする体制がない」が34・8%、「突発的な業務が生じやすく計画的に取得しづらい」が31・5%。「取得しづらい雰囲気がある」が22・8%、「休まないことが評価される風土がある」が13・0%だった。

 取得推進の取り組みが「ある」のは50・5%で、「これからつくる」(33・3%)と合わせると8割を超えた。「ない」は16・2%だった。

 具体的な取り組み(複数回答)は「計画的な取得」が67・5%とトップ。「経営者からの呼び掛けなど雰囲気づくり」(46・8%)、「取得目標の設定」(37・7%)、「取得率が低い従業員を個別に奨励」(31・2%)、「半日や時間単位で取るなど制度見直し」(26・0%)の順に多かった。「サポート体制整備」「業務量偏在の見直し」「管理職への説明強化」「適正配置で業務削減」は10%台にとどまった。

 

 

■取得5日義務化に賛否

 年次有給休暇の取得が県内企業で進んでいないことが浮き彫りになった佐賀新聞社の調査。年5日の取得を義務付ける法律が4月に施行されるが、県内企業からは賛否両論の声が上がる。人手不足の解消、生産性向上にどう向き合うか注目される。

 「大企業や公務員と同じ基準を零細企業に押しつけられても…。取得義務化なんて大きなお世話だ」。西松浦郡有田町の陶磁器販売の経営者は、不満をあらわにした。休んだ従業員のカバー体制を取る余裕がない点を強調する。他にも、「民間の厳しい経営環境を少しは考えてほしい」(唐津市の酒造会社)、「政府が主導しすぎで、企業の実態に即していない」(佐賀市の自動車販売会社)と批判の声が漏れる。

 一方で、肯定的に捉える意見も。「ワークライフバランスを整えるきっかけ。生産性を向上しようと前向きに捉えている」と佐賀市の食品製造会社。有田町の陶磁器販売会社も「人材定着のため賃上げをしたいが、そこまでの体力がない。休日を増やすことを対策にするため、新入社員にも積極的に取らせている」と語る。佐賀市のスーパーは「将来的にはテナントを含めて営業時間を見直し、定休日の導入が進んでいくのでは」と予想する。

 計画的に取得させる取り組みについては各社、工夫を凝らす。佐賀市の製造会社は従業員の誕生日に取得する「メモリアル休暇制度」を設定している。唐津市の食品製造会社は誕生日に加え、結婚記念日での取得を呼び掛けていく。管理職を中心に取得を強化するという唐津市の運輸会社は「荷主にも突発的な発注を控えてもらうよう要請したい」と前向きな姿勢を示した。

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