目が特徴的な鳥などの生き物を描いた作品

作品選びや提供などで深川篤さんへの思いを込めた家族=有田町の九州陶磁文化館

 3年前に57歳の若さで亡くなった有田焼の造形デザイナー、深川篤さんの回顧展が19日、有田町の県立九州陶磁文化館で始まった。柔らかな曲線と優しい色合いの作風で知られた深川さんの才能を惜しみ、同級生や創作仲間が企画した。生き物や植物など自然をモチーフにした作品約200点が並んでいる。31日まで。

 深川製磁のデザイナーとして活躍した深川さん。同社工場長などを務めた父の巌さん(88)と東京で17年間、親子展も開いた。

 若い頃から深川さんを知る先代の十三代今泉今右衛門さんの妻、泰子さん(81)は、開会式で「私の実家のツバキの種を使った釉薬(ゆうやく)で、きれいな黄色の器を作ってくれた。篤君は追憶の中で生き続ける」と思いを寄せた。

 皿や鉢、オブジェなどの多彩な焼き物が並ぶ。馬や鳥などの動物を描いた器は長いまつげの目が特徴的で目を引く。貝殻や葉のモチーフや、ジャズ奏者を描いた作品のほか、植物を独特のタッチで描いたびょうぶも展示。アトリエを再現したコーナーも設けた。鈴田由紀夫館長は「色使いが素晴らしく、楽しさを感じられる」と評価した。

 作品選びなどで回顧展の準備を担った長男の圭さん(28)は「父の発想力はまねができない。父の希望でもあったアーティストが集える場づくりの準備を進めたい」と父の夢の実現を誓った。

 会場には次男至さん(18)が思いをつづった作文や、巌さんの作品、幼少の深川さんの顔を刺しゅうした母葉子さん(86)の枕カバーなど家族の思いが詰まった品も並んでいる。

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