日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が理事会で退任を表明した。6月までの任期を全うした上で身を引く判断だ。

 2020年東京五輪招致の贈賄疑惑で渦中にある。疑惑のため国際会議の出席を控える竹田氏がさらに3カ月居続けるのは疑問である。五輪へのマイナス影響を考えれば、早期の辞任と新体制への移行が必要だ。

 JOCは五輪競技を束ねる組織であり、会長は日本の五輪の顔とも言える。五輪のイメージダウンを気遣う国際オリンピック委員会(IOC)は水面下で懸念を表したといわれる。

 JOCは内向きの理論ではなく、スポーツと五輪へ向けた内外の視線、何が大義かを考慮して行動しなければならない。

 スポーツ庁は今春、企業統治に倣った「ガバナンスコード」を制定し、スポーツ界で続いた不祥事からの脱却と再出発を図る。

 その意味でもスポーツ界のかじ取りは新たな会長に委ねるべきだ。JOCは清新なリーダーの下で刷新に向かってほしい。

 東京五輪招致を巡る疑惑で、フランスの司法当局は昨年12月に竹田氏を贈賄容疑者として正式捜査を開始した。疑惑は、竹田氏が理事長だった東京五輪招致委員会が、開催都市を決める13年のIOC総会前にシンガポールのコンサルタント会社と契約し、2億円余りの契約金の一部が国際陸連会長でもあった当時のIOC委員の息子に流れ、IOC委員の票取りまとめに使われたのではないかというものだ。

 竹田氏は1月に開いた記者会見で一切の質問を受け付けず、説明責任を十分に果たさなかった。

 また、潔白の主張の背景に、JOCが設けた外部委員会の調査が違法性はないと結論づけたことを挙げる。だが、この委員会はコンサルタントの聞き取りはできず、資金の流れの解明もできなかった。潔白の論拠とするには無理がある。

 JOC内部には定年のルールを変えてまで竹田氏の会長職延長を図る動きがあった。疑惑を抱えた長期政権は社会の理解を得られまい。スポーツに国民が期待するのは、クリーンさや公正さである。そのリーダーには自らを律する資質が求められる。

 昨今のスポーツ界での不祥事は、長く権力の座にある人物が組織を牛耳る構造が背景にあったものが多い。スポーツ庁が策定を目指すガバナンスコードの素案には、役員の在任期間や定年規定が入った。

 竹田氏は東京五輪招致成功の立役者の一人であり、五輪をJOC会長で迎えたい意向は強かったという。本人の無念さは分からないでもない。またグレーなのは、竹田氏だけなのか疑念も残る。

 問題の根底に五輪招致にカネがついて回る点がある。02年ソルトレークシティー冬季大会ではIOC委員への大量買収工作が発覚し、これを機にIOC委員の招致都市訪問は禁じられた。

 代わりに都市と委員との接点としてコンサルタントが存在感を増した。16年リオデジャネイロ夏季大会でも今回同様の構図で買収疑惑が起こった。

 五輪は夏季冬季両大会があるから、2年ごとに必ず開催都市が決まる。IOCは中長期計画「アジェンダ2020」でコンサルタントの登録制と監視を掲げた。一層の透明性確保が課題だ。(共同通信・小沢剛)

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