酒米を作るる畑を見学する飯盛さん(右端)ら=鹿島市三河内広平

 鹿島市の酒造メーカー富久千代酒造と矢野酒造が、農業法人「蔵アグリ・ラボ」を4月にも設立する。農業の若い担い手の育成と景観保持のためのまちづくりが目的で、酒の原料である米の確保も狙う。地元農家と協力し、初めての酒米作りに挑戦する。将来、法人運営の中核を担う人材も募集している。

 鹿島市では日本酒造りに適している山田錦を生産。近年は農家の高齢化や若者の流出が目立ち、富久千代酒造の飯盛直喜社長は「地元産の米で日本酒を造っていくことに不安を感じた」と話す。

 飯盛社長に農業法人について打診を受けた矢野酒造の矢野元英常務取締役は「酒を造る上で、米作りに興味を持っていた。原料から作ることで、表現したい味に近づくことができるのではないかと思った」と話す。

 農業を始めるにあたり、市の農業委員会は鹿島市三河内広平を候補に挙げた。標高400、500メートルある広平は石積みされた棚田が広がり、景観に魅せられて決定した。広平地区の住民の平均年齢は70歳を超え、田畑を手放す人も多くなっていた。

 酒米作りのために農地を貸した地元農家の巨瀬茂行さん(71)は「酒米作りは初めてで不安もあるが、一緒に農業をやろうと言ってくれる若者の存在はありがたい」と話す。

 初年度は広さ約20アールの畑で、山田錦、鍋島、ゆめしずくの栽培を始める。畑はこれまで5年間使用しておらず、畑の状態を探ることから始まる。

 畑の拡大を視野に入れ、農業法人の中核的な役割を果たす若い担い手を募集している。3人は「一緒に勉強しながら主体的に動いていくれる人がうれしい」と話す。初年度は富久千代酒造に勤務してもらい、酒造りの過程を追いながら、農業法人の仕事を進めていく。

 飯盛社長と矢野常務取締役は「ここで作った酒米で日本酒が完成するのは先になるが、酒かすなどを利用した加工品も手掛けていけたら。将来的には野菜の生産にも取り組み農業ツーリズムも計画していきたい」と抱負を語る。

 農業法人に関する問い合わせは富久千代酒造、電話0954(62)3727。

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