100歳記念の作品展を開いている北島省己さん。イラク戦争がテーマの「還らぬ夫」(左)など多彩な作品を並べる=佐賀市天神のぎゃらりぃふじ山

 趣味で油彩画を描き、県展や佐賀美術協会展で入賞歴のある佐賀市の北島省己さんが、同市のぎゃらりぃふじ山で100歳記念作品展を開いている。戦禍を生き延び「老いを楽しみ、実りのある人生に」とキャンバスに向かい続けて30年。雄大な自然を描いた風景画、戦争の悲惨さを訴える作品まで22点を並べる。17日まで。

 北島さんは1919(大正8)年、大阪市生まれ。大阪帝国大(現大阪大)在学中に陸軍の技術将校採用試験を受け、軍人となった。大阪の陸軍造兵廠で兵器に使う金属加工の研究に従事した後、南方戦線へ。乗っていた船が台湾付近で撃沈され、ニューギニアではマラリアに感染しながらも助かり、終戦翌年に復員した。大学助手を経て石炭会社に入り、両親が佐賀県出身だった縁で、石炭会社が買収した杵島炭砿に勤務。77年に「佐賀プラント工業」(杵島郡江北町)を立ち上げ、現在は会長を務める。

 絵を習い始めたのは90年ごろ。「自然の偉大さに包まれながら、1枚描き上げたときの達成感が魅力で、次のモチーフ探しも楽しい。心が豊かになり、時間を持て余さずにすみます」といい、現在は佐賀新聞文化センターの講座で週1回、二紀会委員の洋画家上瀧泰嗣さんから指導を受ける。暮らしているケアハウスの部屋でも創作に励む。

 記念展では、風景画や静物画のほか、イラク戦争で出兵した軍人の妻たちを描いた県展入賞の大作「還らぬ夫」(2003年)も展示。自身の過酷な体験を踏まえ、「何も生み出さず、むごたらしく、悲惨な戦争がなぜ繰り返されるのか」と作品を通して問いかける。

 1月に100歳を迎え、手が震えて線を引くのに苦労することもあるという。それでも「一緒に絵を学ぶ仲間たちとの触れ合いを大切にしながら、動けるうちは、いろいろな絵に挑戦したい」と意欲的に語る。問い合わせは同ギャラリー、電話0952(25)1877。

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