開幕3連敗を喫し、厳しい表情を見せる鳥栖イレブン=10日のFC東京戦

 サッカー・J1サガン鳥栖が試練に直面している。リーグ開幕から3連敗を喫し、18チーム中最下位。攻撃はいまだに無得点で、総失点7と守備の安定感も欠いている。13日のルヴァン杯・柏戦で公式戦5試合目にして今季初勝利を挙げたが、安心するにはまだ早く、早急な立て直しが必要だ。J1参戦8年目にして陥った苦境をチーム一丸で脱してほしい。

 「うまくいっていない。もともと持っていた堅守も失っている」。10日のFC東京戦。試合を解説した元日本代表の福田正博氏の評価は厳しかった。期待の新戦力、クエンカ選手を投入した直後の後半16分、高橋秀人選手が2度目の警告で退場。数的不利の中、必死に守ったが、踏ん張りきれず終了間際に失点した。さらに追加点も許し、後味の悪さが残った。

 昨季14位に沈んだ鳥栖はスペイン出身のカレーラス氏を新監督に迎えた。目指しているのは、ボール保持率を高める攻撃サッカー。ピッチを広く使い、サイドチェンジも効果的に交えながらゴールに迫る。豊富な運動量を武器に堅守速攻を掲げた尹晶煥(ユンジョンファン)監督やフィッカデンティ監督とは一線を画す新たな形を模索している。

 ただ、その戦術の浸透は道半ばと言わざるを得ない。クエンカ選手の出遅れもあってキャンプで磨いた3トップの陣形を取ることができず、攻撃は迫力を欠いている。肝心のボール保持率も第1、2節とも相手の名古屋、神戸の方が上で、攻守の決まり事を全うできていないようにも見える。名古屋戦は後半18分からまさかの4失点。守りを修正できなかった。

 気になるデータもある。Jリーグはチーム平均の走行距離を発表しているが、鳥栖は13位で明らかに走れていない。戦術変更はあるにしても主導権争いで後手に回っていては勝機は遠のいてしまう。

 J2からの昇格組のレベルアップが近年よく指摘されるが、今年の2チームはJ1経験済みの再昇格で、大分が勝ち点6、松本が4と上々の滑り出しを見せている。昨季15位の名古屋が3連勝で首位に立ち、3連覇を狙う川崎がやや出遅れるなど、リーグは今季も混戦模様となっている。

 昨季リーグで最少得点だった鳥栖が攻撃力向上を掲げるのは当然として、勝利の基盤となる堅守を失ったのでは元も子もない。チームは昨季、最終戦で残留を確定させたが、10勝のうち1点差が8試合で、さらに引き分けが11試合。闘争心を燃やして相手に立ち向かい、堅守をベースに勝ち点を積み上げたからこそ残留できたことを思い出してほしい。ホームで迎える17日の第4節・磐田戦は覚悟を持って臨まなければならない。是が非でも勝ち点がほしい。最後の1秒まで気を緩めない完全燃焼のプレーが見たい。(杉原孝幸)

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