コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、24時間営業見直しの実験を始める。深刻な人手不足に苦しむフランチャイズ(FC)加盟店の要望に対応せざるを得なくなった。問題の根本は、いつでも店が開いているという便利さが本当に必要かどうかということだ。サービスの在り方を幅広い視点から考え直したい。

 セブン-イレブンは、一部の直営店で、営業時間を午前7時から午後11時までに短縮し、収益や来店客数、作業効率などを検証する。現在は全国約2万1千店舗のうち96%が24時間営業をしており、FC加盟店に時短営業を導入すれば、周辺業界に広く波及することも予想される。

 24時間営業の象徴とも言えるセブン-イレブンが今回の実験を決めたきっかけは、大阪府東大阪市のFC加盟店オーナーが、自主的に営業時間を短縮したことだ。求人を出してもアルバイト従業員が十分に確保できず、本人はほとんど休みが取れないため、営業時間を19時間にした。

 セブン-イレブンの本部側は契約違反に当たるとして、FC契約を解除し違約金を求めると伝え、話し合いは平行線となった。コンビニのオーナーでつくる団体も、24時間営業の見直しに関する交渉を求める意見書を本部に提出していた。セブン-イレブンがFC加盟店の声を無視できなくなった形だ。

 かつて「朝7時から夜11時まで」の営業時間で当時の小売業の常識を覆したセブン-イレブンは、1975年から24時間営業を始め、コンビニ他社も追随して、この営業形態が当たり前のようになった。

 今ではコンビニは、買い物だけではなく公共料金の支払い、宅配便の受け付け、災害時の物資提供の拠点など社会インフラとしての機能も担うようになっている。だが、FC加盟店は零細な家族経営が多く、人手不足で過重な労働を強いられている例が少なくない。

 コンビニ各社も24時間営業を維持するための対策は取ってきた。セルフレジや自動食洗機の配備など省力化を進めたり、FC加盟店に本部社員を派遣する制度を拡充したりしている。しかし、こうした対策だけで問題が根本的に解決されるとは思えない。より踏み込んだ対策が必要だ。

 同様に人手不足の悩みを抱える外食産業では24時間営業の見直しが先行して進み、ドライバー不足が限界に達した宅配業界もサービス縮小へ動いている。しかし、利用者から目立った苦情は出ていない。

 コンビニ各社も、全国一律の24時間営業に現場の一部が耐えられなくなっている現実を厳しく受け止めなければならない。FC加盟店の実情に応じて柔軟に営業時間を短縮できる仕組みを導入すべきだ。省力化投資にさらに力を入れるのはもちろん、24時間営業を前提とした生産、配送体制の見直しなども求められる。中長期的な視点に立ったビジネスモデルの改革に踏み出してほしい。

 利用者の側が考えるべきは、そもそもコンビニの24時間営業に代表される便利さが社会に不可欠かどうかということだ。コンビニの深夜営業がなくても、救急医療などと違って人の命が懸かっているわけではない。少々の不便さは我慢するという人はいるだろう。社会全体で議論を深めたい。(共同通信・柳沼勇弥)

このエントリーをはてなブックマークに追加