「海の幸」緞帳の公開修復展へ意気込む佐賀大芸術地域デザイン学部の吉川千夏さん(左)と奥島希子さん=佐賀市の佐賀大学本庄キャンパス

 佐賀大の石井美恵准教授(左上)らによって修復作業が行われている、洋画家青木繁の「海の幸」を模した緞帳=2018年11月10日、佐賀市

 福岡県久留米市の市民会館の解体に伴い、廃棄される予定だった同市出身の洋画家、青木繁(1882~1911年)の代表作「海の幸」を模した緞帳(どんちょう)の一部が、青木の遺族らに引き取られ、佐賀大芸術地域デザイン学部によって修復が進んでいる。学生らは「大勢の人たちの思いがこもった作品をいい形で残したい」と力を込める。24日から31日にかけて佐賀大学美術館(佐賀市)で、緞帳を披露するとともに、有志と公開修復をする。作業を手伝うボランティアを募っている。

 「海の幸」は青木の最盛期の作品で、1967年に国の重要文化財に指定された。緞帳は、69年の市民会館開館に合わせ、京都の綴錦織(つづれにしきおり)業者が、縦7・4メートル、横19・5メートルの大きさで制作した。

 市民会館は老朽化を理由に2017年に解体された。緞帳の廃棄の動きを知った青木の孫で、東京で九州郷土料理店を営む松永洋子(ひろこ)さん(74)が、知り合いの画廊関係者や地元の人々の協力で、祖母の福田たねさんがモデルといわれる女性の顔を含む縦3・1メートル、横5・6メートルを切り取り、引き取った。

 保存に当たっては、東日本大震災の文化財レスキューにも携わった佐賀大芸術地域デザイン学部の石井美恵准教授に修復の相談があった。織物が専門の石井准教授は「いろんな工夫がされていて、工芸品として価値が高い。状態もいい」と引き受け、17年11月に佐賀大へ運び込んだ。展示して活用できるように、学生と修復作業をしている。

 「公開修復展」は学生が主体になって実施し、保存に関わる関係者の話も動画で紹介する予定だ。2年の吉川千夏さん(20)は「皆さんの『緞帳を残したい』という思いを強く感じた。その思いが伝わる修復展にしたい」と意気込む。

 公開修復では、緞帳の裁断部分を布で覆って縁を付ける。ボランティア参加などの問い合わせは芸術地域デザイン学部、電話0952(28)8349。

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