店頭に作られた笹井宏之さんの特設コーナー=佐賀市兵庫北の紀伊國屋書店佐賀店

 「夭逝(ようせい)の歌人」笹井宏之さん(西松浦郡有田町、本名筒井宏之、享年26)の没後10年に合わせた初の文庫版作品集「えーえんとくちから」(筑摩書房刊)の売れ行きが好調だ。発売から2カ月で2度の増刷が決まり、総発行部数は近く1万部を超える。インターネット書店も品薄状態が続き、筑摩書房の担当者は「亡くなった歌人の文庫がこれだけ売れるのは異例」と驚いている。

 文庫版作品集は、笹井さんの没後10年(1月24日)を前に、初版で7千部を発行、県内では1月11日から店頭に並んだ。全国の書店から注文が相次ぎ、同15日には2千部の増刷を決めた。その後も堅調な売れ行きで、同社は3月4日、さらに1600部を増刷することにした。

 文庫版は208ページ、税込み734円。入手困難になっていた単行本の作品集に未発表のエッセー、詩、俳句を新たに収録した。名前を冠した短歌新人賞「笹井宏之賞」の第1回受賞作発表も重なり、透明な詩情が再び注目されている。

 東京の渋谷や日比谷の大型書店では笹井さんの特設コーナーが設けられ、若者を中心にファンが増え続けているという。佐賀市の積文館書店佐賀駅店の角町国治店長も「年配の女性を中心によく問い合わせがある」と手応えを語り、「力を入れている郷土作家の本が売れるのはうれしい」と笑顔を見せる。

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