親子問題などの著書が多いフリーライター杉山春さんの『ルポ虐待』(ちくま新書)の中に、ある女性の告白がある◆「しょっちゅう子どもが邪魔だと思っている。1歳児をどなってビンタして、そのことに自分でパニックになって…」。父から母への暴力を見て育ったこの女性は、離婚して幼子を引き取った。バイトしながらの子育て。生活費がピンチになると風俗店で働き、ストレスと不満のはけ口がわが子に向けられる◆親から子への暴力がいとも簡単に行われることに驚いてしまう。確かに児童虐待の背景はさまざまで一様には語れない。先日、県内であった逮捕事案も育児ストレスからのもので、虐待といえるかどうか-という意見も届いた。だが、どんな理由があろうと親は子を守る存在でなければ◆そうでないと虐待が「しつけ」でやり過ごされてしまわないか。後を絶たない虐待の防止対策の強化のため児童福祉法と虐待防止法の改正案に親からの体罰禁止を明記。また、児童相談所などが対応する際に虐待を受けた子どもの意向を尊重し反映させることを保証する「アドボケイト(代弁者)」制度の検討も盛り込むという◆民法に規定する親から子に対する懲戒権。「子どものための懲らしめ」と言われれば何とも反論できないが、どんな理由があろうと「しつけ」に名を借りた暴力ではすこやかな成長はない。(賢)

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