東日本大震災からの復興・創生期間は2020年度で終了し、その時点で復興庁は廃止される予定だ。期間内に計32兆円の予算を使い防潮堤や高速道などのインフラを整備、住宅の再建もほぼ終わり、水産加工場などの生産設備もおおむね復旧する予定だ。

 21年4月以降は、観光の振興、農林水産業の再生、企業立地に加え、被災者の心のケア、コミュニティーの再生といったソフト面の対応が中心となる。持続的な地域社会を目指す「新しい東北」の具体化も待たれる。

 東京電力福島第1原発事故によって4万人以上が避難する福島県沿岸部などの復興はこれからだ。帰還促進や生活の再建、新しい産業の集積を図る「福島イノベーション・コースト構想」の実現も図らねばならない。

 しかし、21年度以降の国の予算や組織の枠組みは決まっていない。20年、30年と中長期的な対応が不可欠な原発事故からの復興を考えれば、福島を中心とした復興・再生の工程表、復興庁の後継組織の在り方について検討し、早急に青写真を地元自治体や住民らに示すよう政府に求めたい。

 新しい組織については、岩手、宮城、福島3県の被災した市町村長を対象にした共同通信のアンケートでも9割が設置を要望している。特に原発事故からの復興や廃炉・汚染水対策がまだまだ必要な福島県の首長は全員が求めている。

 安倍晋三首相も、復興の司令塔を置き縦割り行政を排すること、政治の責任とリーダーシップで復興を成し遂げることを表明している。原発事故に対する国の責任の重大さ、対策の困難さを考えれば、担当大臣を置くのは当然と言える。

 新組織の形態については、現在と同じ単独の省庁にするか、内閣府の沖縄振興局のように内閣府の一つの局にするか、消費者庁のように内閣府の外局にする方法がある。原発事故からの復興が始まったばかりであることや、事故対策の重要性を踏まえれば、単独か外局にすべきだろう。

 創設の際には、内閣府の防災部門との統合を提案したい。全国知事会は昨年、内閣府が持つ防災機能を生かした「防災省」の創設を提唱したほか、自民党総裁選でも石破茂元幹事長が「防災省」の創設を主張している。

 これに対し、首相は反対の立場で、危機管理組織の在り方を検討していた政府の関係副大臣会合も、統一的な危機管理組織の創設には踏み込んでいない。政府はこれまで、防災組織の新設には否定的だった。

 防災省の設置は、国土交通省など関係府省との調整にも時間がかかる大幅な組織再編だ。大地震などが起きていない平時の仕事をどうするのかという課題もある。それに比べて、内閣府の防災担当と復興庁を合わせて一つの庁にすることは、あまり手間がかからない。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生が懸念され、毎年のように大地震や大雨、台風の被害が起きている現状を考慮すれば、防災、災害が起きたときの対応に加えて、復興、産業再生までを切れ目なく担う役所の設置は意義がある。

 国土強靱きょうじん化を掲げる安倍政権の方向性とも合致するはずだ。過去に反対したといった政治的なしがらみを排し、今後の防災や復興のために何が重要かをゼロベースで検討すべきである。(共同通信・諏訪雄三)

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