人口減社会を迎え、中心部に住宅や商業施設、公共施設、病院などを集約する「コンパクトなまちづくり」の必要性が叫ばれている。自治体の活力維持のために大手術を行うということだ。佐賀県内でも空き家や耕作放棄地が増え、バス路線の維持も難しくなり始めた中、どのように地域の将来ビジョンを描き再編していくのか、構想力と実行力が問われている。

 先進例として、よく取り上げられるのが北海道夕張市。産炭地で最盛期の人口は約12万人。その後、炭鉱が閉鎖され、2006年度に財政破綻した。人口はピーク時の1割未満の約8千人となった。

 市は住み続けられるまちを目指し、南北に走る主要道路沿いに集落を集約する計画を策定し、住宅の集約を進めている。住み慣れた地域を離れることへの反発はあったが、住民から要望を聞き取ることで理解を得ていった。市営住宅を集約することで維持費を削減、暖房費に加え、低層化で階段を上り下りする負担も軽減するなど住民にもメリットがあるという。

 新潟県上越市は17年にコンパクトシティー構想を公表した。市の推計で30年の人口は10年より3万人少ない17万人となる一方、除雪やインフラ維持などの負担は大幅に膨らむ見通し。構想では市街地など6拠点に病院や保育所、商業施設などを集める。コンパクトなまちづくりの検討にあたっては、こうした先進地の歩みを注視し、参考にしたい。

 地域の再編には反対やさまざまな懸念がつきまとう。1999~2010年に国が主導した「平成の大合併」では、合併後も人口流出と地域の衰退が深刻化し、特に旧町村などでは合併への疑問がくすぶり続けているからだ。全国トップで4町合併した兵庫県篠山市は合併特例債を活用し、ハコモノ整備を進めた結果、借金額も増大し緊縮財政を強いられた。人口増加という青写真も崩れた。

 一方で、「合併をしない宣言」をして全国の注目を集めた福島県矢祭(やまつり)町は、「合併すれば、新しい自治体の周辺部にしかならず過疎が加速する」として単独で生きる道を選んだ。

 「子育てサポート日本一」を目指し、町長ら特別職の給与引き下げや町職員の4割減、議員報酬日当制など、徹底した行財政改革で財源を捻出した。誕生祝い金制度をいち早く創設し、第1・2子に10万円、第3子100万円、第4子150万円、第5子以降に200万円を支給する。

 その効果か、全国の合計特殊出生率が1・4人と低迷する中、毎年全国を上回り、年によっては2人を超える。保育料や学校給食費も安い。人口は自然減で少しずつ減り、現在約5800人だが、毎年50人前後の子どもが生まれ、高齢化率はほぼ横ばい状態にある。今後、矢祭町が単独町として自治体運営できるかどうかを検証し、成功の秘けつを取り入れたい。

 中心部から離れた地域の数軒のために道路や橋、水道などの公共インフラを維持し続けることが、財政的に困難になるときがやってくる。買い物や医療機関の受診さえままならなくなる。住宅開発もコンパクトなまちづくりに沿う形に誘導すべきである。佐賀県内の市町がこの先、いかに自治体経営をしていくのか、追い込まれる前に対策を立てたい。(高井誠)

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