「冷たいお飲み物と、温かいものは分けて袋にお入れしますか?」「ああ、いい、いい。一緒に入れて」―。芥川賞を受賞した村田沙耶香(さやか)さんの小説『コンビニ人間』の一場面である。缶コーヒーとアメリカンドッグとたばこを買った客と店員のやりとりだ◆細かなサービス。おでんも日用品も売っている。しかも24時間。いまは当たり前だが、当初は午前7時から午後11時までだった。学生の頃だから40年以上も前のことだ◆そんなコンビニの加盟店オーナーが「24時間は限界」と営業時間を短くした。このため本部から契約解除と違約金1700万円の支払いを求められたという。人手不足、人件費の高騰、長時間労働。コンビニが抱える多くの課題が明らかになった◆ニュースを聞くたびに後ろめたい気分になる。われわれ自身が「便利」ばかりを追い、いろんな犠牲に目をつぶってきた気がするからだ。「働き方改革」は休みも取れず疲弊する加盟店には絵空事だろう◆小説の店員が繰り返す言葉がある。「24時間営業でオープンしております。どうぞいつでもご利用ください!」。だが、それほどまでに24時間営業が求められているのだろうか。コンビニには災害時の被災者支援拠点の機能もあるが、食品ロスの問題と同様に、結局はわれわれが消費スタイルをどう考えるかに行き着く。(丸)

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