来年、長崎で開かれる国際生物学オリンピックをPRする大会組織委の浅島誠委員長=佐賀新聞社

 生物学に関心を持つ高校生らを対象とした「国際生物学オリンピック(IBO)」が来年7月3~11日、長崎県で開かれる。大会組織委員会の委員長として、開催周知のため佐賀新聞社を訪れた浅島誠・東京大名誉教授(74)に、IBOの意義などを聞いた。

 -IBOは、国際コンテストとして来年、31回目を迎える。

 浅島 日本では2009年のつくば大会以来、2回目の開催。約4500人が参加する国内予選、上位約80人が進む本選などを勝ち抜いた精鋭4人が日本代表として出場する。先端的な生物学の問題や実験を通して物事を深く考える力や、判断力が身に付く。日本代表は近年の国際大会で4人全員がメダルを獲得するなど活躍している。科学技術立国の日本で開かれる意義も大きい。

 -開催趣旨に科学的マインドを持った社会人や、世界をリードする科学者の育成をうたう。

 浅島 1週間以上にわたって開かれる大会は、実験や理論の試験を通して優秀な才能を発掘するだけでなく、文化や自然を学ぶ体験プログラムも計画している。開催地の文化を知り、他国の同世代と触れ合い、語り合うことで視野が広がる。身に付いた国際感覚を生かし、海外を舞台に活躍する大会経験者もいる。

 -大会は被爆地の長崎を舞台に開かれる。

 浅島 原爆という20世紀の科学技術がもたらした負の遺産と向き合う機会となる。平和公園の訪問なども計画していて、科学が社会にもたらす影響を学び、将来にどう生かしていくのかを考えたい。

 -隣県・佐賀の高校生にとっても、科学で未来を切り開くチャンスとなる。

 浅島 生物学は医学や薬学、農学にも通じ、トータルで物事を考えることができる人材を育てる。国内予選は4月1日から申し込みが始まる。自分自身の可能性を引き出すため、果敢に挑んでほしい。

 -再生科学や再生医療の基礎を築いた研究者として科学の現状をどうみるか。

 浅島 近年、再生医療の発展は目覚ましく、生命科学が苦しみや痛みに対応できるのは大きい。一方で、倫理的な課題も抱えており、社会全体で考え、合意形成しながら進めていく必要がある。

 

 【国際生物学オリンピック】 生物学に関心を持つ高校生らを対象とした国際的コンテスト。各都道府県でマークシートの試験による予選が行われ、上位約80人が参加できる本選では、高校2年以下の成績上位約15人が日本代表候補となる。その後の選抜試験で代表4人と次点2人を選ぶ。国際大会では理論と実験試験を実施。総合成績で上位10%に金メダルが授与される。予選の申し込みは4月1日から5月31日まで。

 

 【あさしま・まこと】1944年、新潟県佐渡市生まれ。東京教育大(現筑波大)卒、東京大大学院修了。専門は発生生物学、再生科学。ドイツ留学を経て横浜市立大教授や東京大教授、副学長などを歴任。動物の器官形成と形づくりをつかさどる物質「アクチビンA」を世界で初めて同定した。再生科学や再生医療の基礎を築き、2008年に文化功労者受章。東京都。

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