有田・泉山磁石場

 前日からの雨があがり、淡い青空がのぞいている。ここは有田の泉山磁石場。

 今から400年前、朝鮮人陶工李参平が、この泉山で陶石(磁器の原料)を発見した。それまで陶器が主流の陶磁器生産に、大変革をもたらした場所である。現在陶石は採掘されていないが、国の史跡となっている。

 昨年秋のNHKテレビ「ブラタモリ」の放送では、近くの英山(はなぶさやま)が噴火して、泉山の磁石があるところに蓋(ふた)をし、そこにある流紋岩が蒸されて陶石ができたという。偶然の産物が白い美しい陶石を生んだ。

 暗い二つの洞窟や鳥が羽を広げたようなまわりの山の奇観に、シュールレアリスムの画家マグリットの絵を思い出す。やがて空に光が差し始める。山際が霞(かす)み輝く逆光の風景に変わる。まだ冷たい風にもかすかな春の気配を感じる。(佐賀女子短期大学名誉教授・山田直行)

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